赤ちゃんの耳のきこえ検査、東京都ではお金がかかるってほんと?
佐藤
室谷さん、最近友人から「赤ちゃんの聴覚検査を病院でやったんだけど、お金がかかって驚いた」って話を聞いたんですよ。東京都だと補助があると聞いたんですが、実際どうなんですか?
室谷
あー、新生児聴覚検査の話ですね! えっと、結論から言うと東京都内のほぼすべての区市町村で費用の一部を助成していますよ。上限3,000円まで公費で負担してもらえるので、検査費用がかなり抑えられます。
佐藤
ほんとに? 3,000円って具体的にどういう計算になるんですか?
室谷
検査費用が3,000円以内であればその全額、3,000円を超える場合は3,000円を差し引いた残りが自己負担になります。たとえば検査費が5,000円だったとすると、3,000円が助成されて2,000円の自己負担という計算ですね。
佐藤
なるほど! じゃあ病院によって費用が違うこともあるんですか?
室谷
そうなんですよ。医療機関によって検査方法や設備が違うので費用にも差が出ます。でも受診票さえ持っていけば上限3,000円の範囲で助成が受けられるので、まずは受診票の入手方法を押さえておくのが大事です。
佐藤
助成があるって知らないままだと、全額自費で払っちゃう人もいそうですよね。
室谷
実際そういう方も多くて…。聴覚検査は数千円から1万円近くかかる医療機関もあるので、上限3,000円の助成は家計にとって大きな助けになるんですよ。知っておくだけで全然違います。
佐藤
受診票? どこでもらえるんですか?
室谷
妊娠届出のタイミングで母子健康手帳と一緒にもらえる「母と子の保健バッグ」の中に入ってます。妊娠届出時に受診票が渡されるので、妊娠が分かったら早めに届け出を出しておくのがポイントですね。

そもそも新生児聴覚検査って何のためにするの?
佐藤
あらためて聞くんですけど、そもそもなんで生まれたばかりの赤ちゃんの聴覚を検査するんでしょう? 日常生活で気づかないんですか?
室谷
実は難しいんですよ、これが。生まれながらに両耳に難聴がある赤ちゃんは1,000人に1〜2人いるといわれているんですが、軽い難聴だと大きな音には反応するので周囲の人が気づかないまま成長してしまうことがあります。
佐藤
えっ、そんなに気づきにくいんですか!
室谷
はい。ことばの遅れや発音の様子からはじめて「もしかして?」と気づく保護者の方も多くて。でも実は早い段階で発見して適切な支援を始めれば、ことばの習得の遅れを最小限に抑えられるんです。早期発見・早期支援がポイントなので、生後間もないうちに検査を受けることが大切なんですね。
佐藤
だから生まれたすぐ後に検査するわけか。どんな検査方法があるんですか?
室谷
主に2種類あります。自動ABR(自動聴性脳幹反応)とOAE(耳音響放射)ですね。どちらも眠っている赤ちゃんに小さな音を聞かせて反応を計測するので、赤ちゃんに痛みや不快感はありません。
佐藤
眠ってる間にできるんですね! 2種類の違いはなんですか?
室谷
自動ABRは脳幹からの反応を脳波で計測する方法で、OAEは内耳(蝸牛)の反応を外耳道から計測する方法です。東京都は初回検査に自動ABRを使うことを推奨しています。理由は、リファー(要精密検査)になった場合にOAEだと偽陰性(実際は難聴なのに正常と判断される)リスクがあるからです。

佐藤
偽陰性ってこわい話ですね。検査の結果はどう出るんですか?
室谷
結果は「パス」か「リファー」の2択です。パスは「今のところきこえに問題はありません」、リファーは「より詳しい検査が必要です」という意味。リファーが出ても即「難聴です」というわけではなく、精密検査を受けて専門家がしっかり診断します。
:::pointbox{title="パスとリファーの意味"}
- パス — 検査時点でのきこえに問題なし。ただしその後の遅発性難聴に注意
- リファー — より詳しい精密聴力検査が必要。難聴の確定診断ではない
- 初回検査でリファーになった場合、先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の尿核酸検査を生後3週間以内に受けることが強く推奨されている :::
佐藤
なるほど、リファー=難聴確定じゃないんですね。次のセクションで具体的な申請の流れを聞かせてください。
受診票の使い方と申請の流れ
佐藤
実際に助成を受けるにはどうすればいいんですか? 受診票があれば自動的に助成されるんですか?
室谷
基本的な流れはシンプルですよ。受診票を都内の契約医療機関に提出するだけで助成が適用されます。保険証みたいなイメージですね。
佐藤
生後50日以内! それが期限なんですね。
室谷
そうです、受診票の有効期限は生後50日に達する日までです。早め早めに対応するのがベスト。多くの場合、出産した病院で入院中か退院直後に検査を受けられます。
佐藤
受診票は妊娠届出のときにもらえるんですよね。再発行はできるんですか?
室谷
原則として再発行はできないそうです。大切に保管してくださいね。もし紛失した場合は住んでいる区市町村の窓口に相談してみてください。自治体によって対応が異なります。
:::warning{title="有効期限を過ぎると全額自己負担!"} 受診票の有効期限(生後50日に達する日)を過ぎて検査を受けた場合は、費用助成の対象外となります。全額自己負担になるため、必ず期限内に受診するよう注意しましょう。医療機関は事前予約が必要な場合もあるので、出産前から受診先を確認しておくのがベストです。 :::
佐藤
受診票は都内の契約医療機関でしか使えないんですよね。里帰り出産の場合は?
室谷
里帰りや都外の医療機関での出産の場合は、受診票が使えないことが多いです。ただし出産日から1年以内に申請すれば償還払い(後日払い戻し)を受けられる自治体がほとんどです。住んでいる区市町村の窓口にお問い合わせください。
里帰り出産の方や都外での検査について
佐藤
里帰り出産の申請手続き、どんな書類が必要になるんですか?
室谷
自治体によって多少異なりますが、調布市を例に挙げると以下の書類が一般的です。
| 必要書類 | 内容 |
|---|---|
| 新生児聴覚検査費助成金交付申請書 | 住んでいる区市町村の書式 |
| 母子健康手帳のコピー | 新生児聴覚検査の記録ページ |
| 領収書の原本 | 検査費用が記載されたもの |
| 明細書 | 領収書の内訳がわかるもの |
| 未使用の新生児聴覚検査受診票 | 未使用のものを返却 |
| 振込口座確認書類 | キャッシュカードや通帳のコピー |
佐藤
割と書類が多いですね。郵送でも申請できるんですか?
室谷
調布市など郵送可の自治体も多いです。お住まいの区市町村の窓口かホームページで確認してみてください。
佐藤
申請期限は出産日から1年以内っていうことでしたが、確定申告との絡みで何か注意点はありますか?
室谷
助成金を受け取った場合、確定申告は助成額を差し引いた金額で申告する必要があります。確定申告前に助成金の申請を済ませておくのがスムーズです。先に確定申告してしまった場合は後日修正申告が必要になるので要注意です。
:::warning{title="確定申告と助成金申請の順番に注意"} 医療費控除の確定申告をする場合は、必ず助成金の申請を先に行いましょう。助成金を受け取った分は医療費から差し引いて申告する必要があります。順番が逆になると修正申告が発生します。 :::
検査がリファーだったときの対応
佐藤
もし検査結果がリファーになってしまったら、どうすればいいんですか? 正直パニックになりそうで…
室谷
落ち着いて聞いてくださいね。リファーは「難聴の確定診断」ではなく「精密検査を受けてほしい」というサインです。初回検査でリファーになった赤ちゃんが精密検査でも難聴と確定するわけではありません。
佐藤
そうなんですね、少し安心しました。精密検査はどこで受ければいいんですか?
室谷
東京都の精密聴力検査実施医療機関リストに載っている医療機関を受診してください。一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会のホームページでも確認できます。
佐藤
精密検査はいつまでに受ければいいんですか?
室谷
令和6年(2024年)12月27日に改正された国の通知によると、先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の尿核酸検査が陽性の場合は生後2か月以内、陰性の場合は遅くとも生後3か月以内を目途に精密検査を実施することが望ましいとされています。
佐藤
CMV感染症って初めて聞きました。どういうものですか?
室谷
先天性サイトメガロウイルス感染症は、新生児難聴の主な原因のひとつです。母親が妊娠中にサイトメガロウイルスに感染すると、胎盤を介して胎児に感染して先天性の障害を引き起こすことがあります。リファーになった場合は生後3週間以内にCMV感染症の尿核酸検査を受けることが強く推奨されています。
:::pointbox{title="リファー後の対応フロー"}
- 生後3週間以内 — 先天性CMV感染症の尿核酸検査を受ける(強く推奨)
- CMV陽性の場合 — 生後2か月以内に精密聴力検査を実施
- CMV陰性の場合 — 生後3か月以内を目途に精密聴力検査を実施
- 相談先: お住まいの区市町村の保健所・保健センター :::
佐藤
パスが出ても安心しちゃいけないって聞いたことがあるんですが?
室谷
よく知ってますね! その通りで、初回検査でパスになっても遅発性の難聴が後から現れることがあるんです。たとえば先天性風しん症候群による難聴など。だから定期的に発達の様子を確認しながら耳のきこえもチェックしていくことが大切です。
助成対象の検査と対象外になるケース
佐藤
助成の対象になる検査とならない検査って具体的にどう違うんですか?
室谷
ざっくりまとめるとこんな感じです。
| 区分 | 内容 | 助成 |
|---|---|---|
| 対象 | 自動ABR・OAE・ABRによる初回検査 | ○(上限3,000円) |
| 対象外 | 医療保険が適用される検査 | × |
| 対象外 | 再検査・精密検査 | × |
| 対象外 | 生後50日の有効期限後の検査 | × |
佐藤
再検査は助成対象外なんですね。
室谷
はい、助成を受けられるのは初回検査の1回のみです。リファーになって再検査や精密検査を受ける場合は、別途費用がかかります。精密聴力検査が必要になった場合は医療保険や小児慢性特定疾病医療費助成など別の制度が使えることもあるので、主治医に相談してみてください。
佐藤
じゃあ受診票がなかったり期限を過ぎてしまった場合は、もう救済措置はないんですか?
室谷
都内の契約医療機関での検査に限り受診票が使えますが、都外での検査や受診票を使えなかった場合は先ほど話した償還払い申請が使えます。ただし生後50日を過ぎた受診は原則対象外なので注意です。
制度の対象者と実施体制
佐藤
この助成って、東京都に住んでいれば全員使えるんですか? 国籍とか関係あります?
室谷
基本的には都内の区市町村に住民登録がある方の新生児が対象です。外国籍の方も住民登録があれば対象になります。生後50日までに達する方が検査を受けられます。
佐藤
双子の場合は? 2人分もらえますか?
室谷
1人につき1回が原則なので、双子であれば2人分の助成が受けられます。それぞれ別々に検査を受けて、それぞれ上限3,000円が助成されます。
佐藤
それは安心しました。実施しているのは都内すべての区市町村ですか?
室谷
東京都が推進していて、実質的に都内ほぼすべての区市町村で実施されています。ただし詳細の手続きや窓口は各区市町村によって異なるので、お住まいの区市町村の担当窓口に確認するのが確実です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成額 | 上限3,000円(1人につき1回) |
| 対象者 | 都内住民登録がある新生児(生後50日まで) |
| 有効期限 | 生後50日に達する日まで |
| 受診票の入手先 | 妊娠届出時(区市町村窓口) |
| 使用可能な医療機関 | 都内の契約医療機関(原則) |
| 里帰り出産の場合 | 出産日から1年以内に償還払い申請 |
| 実施主体 | 東京都・区市町村 |
| 問い合わせ先 | 住んでいる区市町村の担当窓口 |
申請のポイントと失敗しないコツ
佐藤
申請でよくある失敗ってどういうものがありますか?
室谷
一番多いのは有効期限切れです。産後は育児で忙しくなって受診票のことを忘れがちなんですが、生後50日を過ぎると全額自己負担になってしまいます。
佐藤
50日ってあっという間ですよね。
室谷
そうなんです! 出産前に受診票が入っているか確認して、どの医療機関で検査を受けるかも決めておくのが理想です。多くの場合は出産した病院でそのまま検査を受けられるので、妊婦健診の際に担当医に「出産後に聴覚検査を受けたい」と伝えておくとスムーズです。
佐藤
受診票は再発行できないって言ってましたよね。紛失したらどうなるんですか?
室谷
原則再発行不可ですが、自治体によって柔軟に対応してくれる場合もあります。紛失した場合はすぐに区市町村の担当窓口に連絡してください。最悪の場合でも、先ほどの償還払い制度(都外での検査と同じ扱い)が使えることがあります。
:::pointbox{title="失敗しないための4つのポイント"}
- 妊娠届出時に受診票を受け取り、紛失しないよう保管する
- 出産前に検査を受ける医療機関を決めておく(事前予約が必要な場合も)
- 生後50日の有効期限を必ずカレンダーに記入する
- 里帰り出産の場合は出産日から1年以内に償還払い申請する :::
佐藤
聴覚だけじゃなくて、出産後のサポートは他にもいろいろあると聞いたんですが、どんな制度と組み合わせると効果的ですか?
室谷
新生児聴覚検査と一緒に活用したい制度がいくつかありますよ。次のセクションで紹介しますね。
出産・子育て関連の助成と組み合わせよう
佐藤
出産前後でもらえる補助って、聴覚検査の助成以外にどんなものがあるんですか?
室谷
東京都でよく利用される制度をまとめると、こんな感じです。
| 制度名 | 概要 | 詳細 |
|---|---|---|
| 出産育児一時金 | 公的医療保険から50万円が支給 | 出産費用の大部分をカバー |
| 妊婦健康診査の公費助成 | 14回分の妊婦健診を公費助成 | 妊娠中の健診費用を軽減 |
| 産婦健康診査の公費助成 | 産後2回の健診費用を助成 | 産後うつスクリーニング含む |
| 産後ケア事業の利用料助成 | 産後のケア施設利用料を助成 | 心身のサポート |
| 1か月児健康診査の費用助成 | 生後1か月健診の費用を助成 | 都内共通の制度 |
| 新生児聴覚検査の費用助成(全国版) | こども家庭庁推進の全国制度 | 東京都版との違いに注意 |
佐藤
新生児聴覚検査の助成が2種類あるんですね? 東京都版と全国版の違いは何ですか?
室谷
新生児聴覚検査の費用助成(全国版)はこども家庭庁が推進する全国共通の枠組みで、各自治体が国の補助を受けて実施する制度です。東京都の場合は都と区市町村が連携して運営していて、実質的に同じ「受診票」を使った仕組みになっています。受診票で検査を受ければ重複申請にはならないので安心してください。
佐藤
未熟児で生まれた場合はどうなりますか?
室谷
未熟児の場合は未熟児養育医療制度も活用できます。入院中の医療費をカバーしてくれる制度です。聴覚検査の費用助成と組み合わせて利用可能です。
よくある質問
佐藤
読者からよく来る質問をまとめて聞かせてください!
室谷
もちろんです。よくある疑問を一気に答えますよ。
佐藤
まず「受診票を忘れて検査に行ってしまった」という場合はどうなりますか?
室谷
その場合は一旦全額自己負担して、後日「未使用の受診票」と領収書を持参して区市町村に償還払いの申請をしてください。受診票を持参しなかった場合でも申請できる自治体が多いです。
佐藤
助産院で出産した場合はどうですか? 病院と違いますか?
室谷
助産院は新生児聴覚検査を実施できない場合が多いです。東京都のリストには「他の施設で生まれた児への検査を実施する医療機関リスト」があるので、助産院で出産した場合は別の医療機関を予約して検査を受ける必要があります。
佐藤
都内の契約医療機関ってどこで確認できますか?
室谷
東京都福祉局の公式ページにリストが掲載されています。分娩取扱医療機関リストと、他院で生まれた児への検査実施機関リストの2種類があります。
佐藤
受診票は1枚だけですか? 双子の場合は2枚もらえますか?
室谷
双子や三つ子の場合、お子さんの人数分だけ受診票が交付されます。妊娠届出の際に双子とわかっている場合は伝えておくとスムーズです。
佐藤
最後に、制度を使うにあたって一番大事なことを教えてください。
室谷
受診票の有効期限(生後50日)を絶対に忘れないこと、これに尽きますね。妊娠届出時に受診票を受け取ったら、すぐに手帳や育児日記にメモしておきましょう。産後は体も疲れていて色々なことが抜けがちなので、出産前の準備が肝心です!
佐藤
ありがとうございました! 赤ちゃんの耳のきこえって見落としがちなポイントですが、こんなに手厚い助成があるんですね。
室谷
そうなんです。東京都内で出産予定の方はぜひ活用してください。問い合わせ先はお住まいの区市町村の担当窓口です。制度の詳細は東京都福祉局の公式ページでも確認できます。
:::pointbox{title="お問い合わせ先"}
- お住まいの区市町村の担当窓口(詳細は各区市町村の公式ウェブサイトでご確認ください)
- 東京都福祉局 赤ちゃんの耳のきこえについて(公式ページ) :::
基本情報まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 東京都新生児聴覚検査費用助成 |
| 助成上限額 | 3,000円(1人につき1回まで) |
| 対象者 | 都内住民登録がある新生児(生後50日まで) |
| 受診票の有効期限 | 生後50日に達する日まで |
| 受診票の入手方法 | 妊娠届出時に区市町村窓口で受け取る |
| 利用可能医療機関 | 都内の契約医療機関(原則) |
| 里帰り・都外の場合 | 出産日から1年以内に区市町村に申請(償還払い) |
| 実施主体 | 東京都・区市町村 |
| 問い合わせ先 | お住まいの区市町村担当窓口 |
| 公式URL | https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/kenkou/baby_ear |