医療費・支援制度

最大15万円|東京都特定不妊治療費助成2026を徹底解説

保険診療と併用して行う先進医療など、不妊治療に要する費用の一部を東京都が助成する制度。2026年度の対象拡充内容を確認する。

東京都の特定不妊治療費助成って、2026年からどう変わったの?

佐藤
室谷さん、東京都の特定不妊治療費助成って、2026年から大きく変わったって聞いたんですが、何が変わったんですか?
室谷
そうなんですよ、かなり大きな拡充があって、ざっくり言うと「もらえるお金が増えた」んです。2026年3月までは、先進医療にかかった費用の7割が最大15万円助成される制度だったんですが、2026年4月からは体外受精・顕微授精の保険診療自己負担分まるごとが助成対象に加わりました。
佐藤
えっ、保険診療の自己負担分も出るようになったんですか!
室谷
そうです。これ、かなり大きな変化なんです。それまでは先進医療の費用しか見てもらえなかったので、たとえば保険で体外受精にかかった費用(自己負担3割)は自分でまるっと払っていたんですが、2026年4月以降に開始した治療なら、それも含めて1回最大15万円が助成されるようになりました。
佐藤
なるほど!でも上限は変わらず15万円なんですね。
室谷
そうですね。上限金額は変わらず1回あたり15万円です。ただ、対象が広がった分、助成額が実際に増える人がかなり多くなります。たとえば保険診療の自己負担9万円+先進医療3万円なら、合計12万円が助成されるイメージです。
佐藤
これ、制度名が変わったりしてますか?混乱しそうで。
室谷
正式名称は「東京都不妊治療費助成事業」です。かつては「特定不妊治療費(先進医療)助成事業」と呼ばれていましたが、2026年の拡充にあわせてリニューアルされています。体外受精・顕微授精を保険診療として受けている東京都在住のご夫婦に向けた制度、と押さえてください。

2026年版: 助成される治療と助成額の全体像

東京都特定不妊治療費助成2026・助成対象と助成額の図解

佐藤
具体的に「何にお金が出るのか」をもう少し教えてもらえますか?
室谷
2026年4月1日以降に開始した治療については、体外受精・顕微授精の保険診療自己負担分と、その際に併用した先進医療の費用が対象になります。1回の治療につき最大15万円です。ただし、高額療養費や付加給付金の支給があった場合はその分が差し引かれます。
佐藤
計算が複雑そうですね。
室谷
東京都が具体例を出してくれているので、整理しますね。
ケース 保険診療自己負担 先進医療費 高額療養費 助成額
ケース1 9万円 3万円 0円 12万円
ケース2 10万円 0円 3万円 7万円
ケース3 12万円 9万円 0円 15万円(上限)
佐藤
ケース2みたいに高額療養費が戻ってくる場合は、その分引かれるんですね。
室谷
そうです。必ず先に高額療養費や付加給付金の支給を受けてから申請してください。後で発覚すると書類の修正が発生してしまいます。
佐藤
じゃあ、2026年3月以前に治療を始めた場合はどうなるんですか?
室谷
2026年3月31日までに開始した治療は旧制度が適用されます。先進医療にかかった費用の10分の7、上限15万円です。保険診療の自己負担分は対象外です。
治療開始 助成対象 助成率 上限
2026年4月1日以降 保険診療自己負担+先進医療費 費用全額 1回15万円
2026年3月31日以前 先進医療費のみ 7割 1回15万円
佐藤
治療の開始日がどちらに該当するかで全然違ってくるんですね。
室谷
「治療の開始日」の定義が少しわかりにくいんですが、1回の移植に向けて初めて治療計画を立てた日が基準です。採卵周期か移植周期かで区切るのではなく、一連の治療をセットで1回とカウントします。

先進医療って何?種類と対象医療機関

佐藤
そもそも「先進医療」って何ですか?よく聞くんですが、イマイチわかってなくて。
室谷
先進医療というのは、厚生労働省が「有効性や安全性が認められている」と判断して認定した医療技術です。保険診療とは組み合わせて使えるんですが、費用は全額自己負担になります。不妊治療で認められている先進医療はざっくり11種類あります。

:::pointbox{title="不妊治療で認められている先進医療(2026年7月時点)"}

  • SEET法
  • タイムラプス
  • 子宮内膜スクラッチ
  • PICSI(ヒアルロン酸結合精子選択)
  • ERA / ERPeak(着床の窓検査)
  • 子宮内細菌叢検査(EMMA / ALICE)
  • IMSI(高倍率顕微鏡精子選択)
  • 二段階胚移植法
  • 子宮内細菌叢検査(子宮内フローラ検査)
  • 膜構造を用いた生理学的精子選択術(マイクロ流体技術)
  • 着床前胚異数性検査(PGT-A) :::
佐藤
聞いたことあるやつもある!ERAとかタイムラプスって、クリニックでよく勧められるやつですよね?
室谷
そうですね。ERAは「着床の窓」を調べる検査で、移植のベストタイミングを特定するものです。タイムラプスは胚の発育過程を連続撮影で観察する技術です。どちらも自費ですが、東京都の助成対象になっています(登録医療機関での受診が条件)。
佐藤
登録医療機関、というのがポイントなんですか?
室谷
大事なポイントです。厚生労働省から先進医療の実施機関として指定を受けた医療機関で受診しないと助成対象になりません。クリニックが登録されていても、特定の技術だけ登録しているケースもあります。東京都のサイトから、都内で登録医療機関と登録技術の一覧(Excel形式)が確認できます。

:::warning{title="登録日より前の治療は対象外!"} 先進医療は登録日以降に実施した治療・技術のみが助成対象です。たとえばA病院でのタイムラプス登録日が2023年10月1日の場合、9月10日に実施した治療は対象外になります。受診前に必ず登録日を確認してください。 :::


対象者の要件を確認しよう

佐藤
この助成、誰でも申請できるわけじゃないですよね?要件があるんですよね?
室谷
はい、4つの要件があります。全部満たしていないと対象になりません。
# 要件 ポイント
1 法律婚または事実婚の夫婦 事実婚は同一住所での住民登録が条件
2 東京都内への住民登録 法律婚は夫婦いずれか、事実婚は夫婦ともに同一住所
3 保険診療で体外受精・顕微授精を受診 全額自費の治療は対象外
4 治療開始時の妻の年齢が43歳未満 43歳以上は対象外
佐藤
事実婚でも申請できるんですね。これは助かる人も多そう。
室谷
実は要件が少し厳しくて、事実婚の場合は夫婦ともに同一住所で住民登録していることが基本条件です。別居している場合は申立書を出す必要があります。
佐藤
43歳未満という年齢制限は、治療をしている期間中ずっとそうである必要があるんですか?
室谷
いいえ、治療の開始日時点での妻の年齢で判定します。途中で43歳になっても、開始時に42歳だったなら対象です。ただし、助成回数の上限が年齢によって変わります。
佐藤
あ、助成回数にも制限があるんですね。
室谷
保険診療の回数制限に準じています。

:::pointbox{title="助成回数の上限(1子につき)"}

  • 39歳以下 — 最大6回まで
  • 40〜42歳 — 最大3回まで
  • 1子ごとに回数リセット可能(出産したら、次の子のために回数が1からになる) :::
佐藤
1子ごとにリセットできるのは知らなかった!それは助かりますね。次のセクションで申請の流れを教えてもらえますか?

申請の流れ: いつ、どこに、何を出すか

東京都特定不妊治療費助成2026・申請ステップと必要書類の図解

佐藤
申請って、いつから、どこにすればいいんですか?
室谷
まず知っておきたいのが、2026年4月以降に開始した治療の申請受付は2026年10月1日からスタートするということです。これより前に申請しても無効になります。
佐藤
4月から治療は始められるけど、申請は10月からなんですね。
室谷
そうです。治療を先に始めて、後から申請する流れです。申請期限は「治療が終了した日の属する年度の3月31日」なので、余裕を持って準備しましょう。
佐藤
電子申請が基本なんですね。必要な書類は何ですか?
室谷
2026年4月以降の治療の場合、主な書類はこちらです。
# 書類 注意点
1 不妊治療費助成事業受診等証明書 医療機関が記入(文書料がかかる場合あり)
2 住民票の写し 申請日から3か月以内・続柄省略不可
3 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) 申請日から3か月以内
4 健康保険の資格情報がわかる書類 マイナ保険証・資格確認書等
5 限度額適用認定証区分がわかる書類 マイナポータルのスクリーンショット等
6 高額療養費の支給決定通知書 支給があった場合のみ
7 付加(附加)給付の支給決定通知書 支給があった場合のみ
佐藤
書類が多いですね!準備が大変そう。
室谷
そうですね。ただ、電子申請ならLoGoフォームのマイページから途中で補足できるんです。「まだ用意できていない書類があるけど期限が近い!」というときは、期限内に準備できた書類だけ先に出して、後から追加添付できます。ただし、その場合は必ず期限前に東京都へ相談してください。

:::warning{title="申請期限の「消印有効」に要注意"} 「3月31日消印有効」の場合、3月31日の夜中にポストに投函しても、翌4月1日に回収・押印されると期限切れになってしまいます。期限ギリギリの場合は郵便局の窓口から差し出すか、電子申請で送信日を記録に残してください。 :::


攻略ポイント: 申請ミスを防ぐために知っておくこと

佐藤
申請でよくある失敗ってあるんですか?知っておきたいです。
室谷
多いのが「先進医療を対象外のクリニックで受けてしまった」「高額療養費を先に受け取らなかった」「住民票の続柄を省略して取得してしまった」の3つです。

:::pointbox{title="申請ミスを防ぐ!4つのポイント"}

  • 受診前に登録医療機関・技術を確認 — 先進医療ごとに登録日があり、それ以前の受診は対象外
  • 高額療養費を先に受け取る — 健保組合への申請が必要な場合は早めに手続き
  • 住民票は「続柄省略なし」で取得 — 窓口で「続柄記載あり」を指定する
  • 戸籍謄本は申請日から3か月以内 — ギリギリ取得すると期限切れになることも :::
佐藤
高額療養費の話が出ましたが、「高額療養費を先に受け取る」というのは、手続きが必要なんですか?
室谷
健保組合によって「自動還付」と「申請が必要」に分かれています。自分がどちらなのかを加入保険組合に確認しておくのが安心です。高額療養費制度については別の記事で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。
佐藤
なるほど。不妊治療って、医療費控除も使えますよね?
室谷
使えます!不妊治療費は医療費控除の対象になり得るので、確定申告でさらに節税できます。医療費控除(確定申告)の記事も参考にしてください。東京都の助成金を受け取った場合は、その分を医療費から差し引いて申告します。

よくある質問

佐藤
Q&A形式で、よくある疑問を教えてもらえますか?
室谷
よく聞かれる質問をまとめますね。
佐藤
一般不妊治療(人工授精とか)もこの助成の対象になりますか?
室谷
なりません。東京都特定不妊治療費助成の対象は体外受精・顕微授精(保険診療)のみです。人工授精などの一般不妊治療は東京都不妊検査等助成という別の制度があるので、そちらを確認してください。
佐藤
体外受精を全額自費でやった場合は?
室谷
全額自費(保険外)で体外受精・顕微授精を受けた場合は、先進医療を組み合わせていても対象外です。必ず保険診療として受診していることが条件になります。
佐藤
他の自治体の助成と併用できますか?
室谷
お住まいの区市町村が独自の助成制度を設けている場合、東京都の制度と上乗せで使えるケースがあります。ただし、同じ期間の治療について他自治体から既に助成を受けていると、その分が差し引かれる場合もあります。区市町村の窓口に確認してみてください。
佐藤
事実婚で申請する場合、特別に必要なものはありますか?
室谷
事実婚の場合は毎回の申請で戸籍全部事項証明書(夫婦両方)が必要です。また、同一世帯でない場合は申立書(同一世帯でない理由と、子の認知を行う意向を記載)が必要になります。
佐藤
申請が受理されてから振込まで、どのくらいかかりますか?
室谷
正直なところ、東京都の公式ページにも「現在かなり多くのご申請をいただいており、承認決定まで通常より長くかかっています」と注記があります。余裕を持って、治療が終わったら速やかに申請することをお勧めします。

令和8年度特例: 都外転出した場合の申請について

佐藤
治療途中で東京都から引っ越してしまった場合はどうなるんですか?
室谷
令和8年度には特例が設けられています。令和8年4月1日以降に治療を開始し、令和8年9月30日までに治療が終了した場合、かつ令和8年10月1日以前に都外へ転出していれば、転出後でも申請可能なケースがあります。
佐藤
えっ、転出しても申請できるんですか!
室谷
ただし条件があります。「治療開始日時点で夫婦いずれかが東京都に住民登録があること」「令和8年9月30日までに治療が終了していること」「転出は令和8年10月1日以前であること」の3点が必要です。かつ、申請受付開始後(2026年10月1日以降)に都外へ転出する前に申請することが条件です。
佐藤
申請日より先に都外に出てしまうと対象外になるんですね。
室谷
そうです。転出のタイミングと申請のタイミングの順番が大切です。転出予定がある場合は、申請受付開始後にまず申請してから引っ越しをしてください。申請日より前に都外転出してしまうと対象外になってしまいます。

:::warning{title="転出予定がある方は申請の順番に注意"} 2026年10月1日以降に転出する予定の場合: 先に申請 → その後に転出。転出した後に申請しようとしても、申請日より転出日が早い場合は対象外になります。 :::

佐藤
治療期間と転出タイミングが複雑ですね。わからなくなったら東京都に相談した方がいいですか?
室谷
絶対そうしてください。個別ケースは電話(03-5320-4362、平日9時から17時)で確認できます。申請前の相談も受け付けているので、「自分は申請できる?」という段階から相談していただけます。

不妊治療にかかるお金のリアル: 助成制度を最大限に活用する

佐藤
実際、不妊治療って費用的にどのくらいかかるものなんですか?
室谷
体外受精の費用は、保険適用で自己負担が概ね3割になっているとはいえ、採卵・受精・培養・移植一式で1回あたり10万〜20万円程度かかることが多いです(クリニックや治療内容によって異なります)。先進医療を使う場合はそこに数万〜十数万円が上乗せになります。
佐藤
東京都の助成で最大15万円が戻ってくるのは、結構大きいですね。
室谷
大きいですよ!(笑)しかも東京都の助成の上に、区市町村が独自の上乗せ助成をしているケースも多いです。たとえば文京区・世田谷区・新宿区などの自治体では、東京都の助成に加えて独自の助成がある場合があります。
佐藤
区市町村の助成と組み合わせると、さらに節約できるんですね。
室谷
そうです。さらに、年間の医療費が一定額を超えた場合は医療費控除(確定申告)で所得税・住民税の還付も受けられます。高額療養費制度も使えますし、複数の制度を重ねることで、実質的な自己負担をかなり抑えることができます。
制度 自己負担を下げる仕組み
保険診療(体外受精・顕微授精) 通常3割負担
高額療養費制度 月の上限額を超えた分が還付
東京都特定不妊治療費助成 1回最大15万円の助成
区市町村の独自助成 上乗せ助成(自治体による)
医療費控除(確定申告) 年間支払い医療費への税控除
佐藤
全部使ったら、だいぶ違いますね!
室谷
確かに。ただ注意したいのが、東京都から助成を受けた金額は医療費控除の計算から差し引く必要があります。受け取った助成金を差し引いた残りの自己負担額が医療費控除の対象になるので、混同しないようにしてください。

関連する助成制度を合わせて確認しよう

佐藤
他に使えそうな制度はありますか?
室谷
いくつかあります。東京都不妊検査等助成は、不妊検査や人工授精など一般不妊治療の費用を助成する制度です。体外受精に進む前の段階で使える制度なので、まずそちらから確認するのもいいと思います。
佐藤
不育症の方向けは?
室谷
不育症検査費用の助成があります。先進医療として実施される不育症検査の費用を助成する制度で、着床は繰り返すけど継続妊娠が難しいという方向けです。
佐藤
不妊治療の保険適用の仕組みも、一緒に知っておいた方がいいですね。
室谷
ですね。不妊治療の保険適用と先進医療助成の記事で、2022年の保険適用以降の制度全体の流れを解説しています。東京都の助成制度と合わせて読むと、自己負担のイメージがつきやすいと思います。
制度名 対象 URL
東京都不妊治療費助成(本制度) 体外受精・顕微授精の保険診療自己負担+先進医療 詳細
東京都不妊検査等助成 不妊検査・一般不妊治療費 詳細はリンク先
不妊治療の保険適用と先進医療助成 保険適用の仕組み全般 詳細はリンク先
不育症検査費用の助成 先進医療としての不育症検査費 詳細はリンク先

基本情報まとめ

佐藤
最後に、この制度の基本情報をまとめてもらえますか?
室谷
まとめると、こういう制度です。
項目 内容
制度名 東京都不妊治療費助成事業
主催 東京都福祉局 子供・子育て支援部 家庭支援課
対象治療 保険診療の体外受精・顕微授精、および併用する先進医療
助成額 1回の治療につき最大15万円(高額療養費等は控除)
助成回数 39歳以下は6回、40〜42歳は3回(1子ごとにリセット可)
年齢要件 治療開始時の妻の年齢が43歳未満
申請受付開始 2026年10月1日(2026年4月以降開始分)
申請期限 治療終了日が属する年度の3月31日
申請方法 電子申請(LoGoフォーム)、難しい場合は郵送可
問い合わせ 東京都福祉局 家庭支援課 母子医療助成担当 03-5320-4362(平日9時〜17時)
公式URL 福祉局公式ページ

:::pointbox{title="お問い合わせ先"} 東京都福祉局 子供・子育て支援部 家庭支援課 母子医療助成担当 電話: 03-5320-4362(平日9時〜17時) 公式ページ :::

佐藤
2026年4月以降の治療は10月から申請できる、と。しっかり覚えておきます!
室谷
忘れないでほしいのが「高額療養費を先に受け取ってから申請」と「書類の有効期限(3か月以内)」のルールです。あと、先進医療を使うなら受診前に登録医療機関・登録技術を確認する。この3点を押さえておけば、スムーズに申請できると思います。

一次情報・申請先: 東京都

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、制度は改正される場合があります。最新の要件・金額は必ず上記の公式ページや窓口でご確認ください。