「新生児マススクリーニング」って何?制度の全体像から教えて
佐藤
子どもが生まれたばかりなんですけど、入院中に「先天性代謝異常等検査(新生児マススクリーニング)」っていう検査の話が出て。正直、あまりよく分からなくて…。
室谷
ああ、それはめちゃくちゃ大事な検査なんです!ひとことで言うと、「赤ちゃんが生まれてすぐの段階で、先天性の代謝異常や内分泌疾患がないかを調べる検査」です。症状が出る前に発見できるのが最大の特徴で、早期に治療を始めることで、重大な障がいを予防できる可能性があります。
佐藤
えっ、症状が出る前に分かるんですか?すごいですね!
室谷
そうなんです。たとえばフェニルケトン尿症という病気、聞いたことありますか?生まれたときは普通の赤ちゃんと変わらないんですよ。でも放っておくと、重度の知的障がいが発生することがある。早期発見して適切な食事療法を始めることで、そういった障がいの発生を未然に防げます。
佐藤
そんな病気があるんですね。他にもそういう疾患があるんですか?
室谷
かなりあります!京都市の制度では、アミノ酸代謝異常・有機酸代謝異常・脂肪酸代謝異常・内分泌疾患など合計20疾患以上を対象としています。しかもさらに、令和7年4月1日(2025年4月1日)からは、国の実証事業として重症複合免疫不全症(SCID)と脊髄性筋萎縮症(SMA)の2疾患も追加されました。
佐藤
へえ、どんどん対象が広がってるんですね!近年の医療技術の進歩が背景にあるんですか?
室谷
そうです。SCIDもSMAも、近年治療法が急速に発展した疾患です。特にSMAは、早期に治療を始めることで症状を大幅に抑えられることが分かってきた。だから早期発見が治療効果に直結するんです。
佐藤
なるほど!検査はいつ、どこでやるんですか?
室谷
生後4〜6日の段階で、出産のため入院している京都市内の医療機関で行います。やり方はとてもシンプルで、赤ちゃんの足の裏からごく微量の血液を採取して、専用のろ紙に染み込ませる。その後、京都市が委託している検査機関に送って分析します。

佐藤
足の裏から採血って、赤ちゃんが痛そう…(笑)。でも大切な検査なんですね。では次に、費用がどれくらいかかるのか、教えてもらえますか?
検査費用の仕組み — 検査料は無料、でも採血・指導料は?
佐藤
費用のことが正直一番気になってて。いくらかかるんですか?
室谷
検査料自体は無料です。ただ、「採血・指導料」については、原則として自己負担となります。
佐藤
えっ、「採血・指導料」って何ですか?検査料と何が違うんですか?
室谷
検査そのものの費用(ろ紙の検査料)は公費で賄われていますが、採血をするための処置料や、保護者への結果の説明(指導)にかかる費用は別枠なんです。これが「採血・指導料」と呼ばれるもので、医療機関によって金額が変わります。
佐藤
えー、それは意外でした!全部タダじゃないんですね。
室谷
でも安心してください!一定の世帯は採血・指導料も公費負担(無料)で受けられます。
佐藤
どういう世帯が対象になるんですか?
室谷
3つの条件のどれかに当てはまる世帯です。①生活保護法による被保護世帯、②当該年度分の市町村民税が非課税の世帯、③前年分の所得税が非課税の世帯——この3つです。
| 採血・指導料の公費負担対象 | 内容 |
|---|---|
| ① 生活保護世帯 | 生活保護法による被保護世帯 |
| ② 市町村民税非課税世帯 | 当該年度分の市町村民税が非課税の世帯 |
| ③ 所得税非課税世帯 | 前年分の所得税が非課税の世帯 |
佐藤
手続きはどうすればいいんですか?
室谷
お住まいの区役所・支所の「子どもはぐくみ室」に行って、「先天性代謝異常等検査無料受診票」を交付してもらえばOKです。この無料受診票があれば、採血・指導料もかかりません。
:::warning{title="注意 — 無料受診票は京都市内の医療機関のみ有効"} 「先天性代謝異常等検査無料受診票」は、京都市内の医療機関でのみ使用できます。里帰り出産など、市外の医療機関での出産の場合は使えません。詳しくは後述の「里帰り出産の場合」をご参照ください。 :::

佐藤
わかりました。では次に、対象となる疾患を詳しく教えてもらえますか?かなり多いみたいですが。
検査で分かる疾患 — 20疾患+令和7年4月追加の2疾患
佐藤
20種類以上って、かなり多いですよね。全部聞いたことない病名で…。
室谷
そうですよね(笑)。大きく分けると「代謝異常疾患」と「内分泌疾患」の2グループです。代謝異常疾患はさらに、アミノ酸代謝異常・有機酸代謝異常・脂肪酸代謝異常・糖質代謝異常に分かれます。
| 分類 | 疾患名 | 検査方法 |
|---|---|---|
| アミノ酸代謝異常 | フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症(楓糖尿症)、ホモシスチン尿症、シトルリン血症1型、アルギニノコハク酸尿症 | タンデムマス法 |
| 有機酸代謝異常 | メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症、イソ吉草酸血症、メチルクロトニルグリシン尿症、ヒドロキシメチルグルタル酸血症、複合カルボキシラーゼ欠損症、グルタル酸血症1型 | タンデムマス法 |
| 脂肪酸代謝異常 | 中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症、極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症、三頭酵素/長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1欠損症、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-2欠損症 | タンデムマス法 |
| 糖質代謝異常 | ガラクトース血症 | ボイトラー法または酵素法 |
| 内分泌疾患 | 先天性副腎過形成症 | LC-MS/MS法 |
| 内分泌疾患 | 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症) | ELISA法 |
| 拡大マス検査(実証事業) | 重症複合免疫不全症(SCID)、脊髄性筋萎縮症(SMA) | PCR法 |
佐藤
「タンデムマス法」「ELISA法」って、それぞれ違う検査方法なんですね。
室谷
そうです!タンデムマス法(LC-MS/MS)は血液中の代謝物を同時に多数分析できる高精度な方法で、一度の採血で多くの代謝異常を一気に検出できる優れた技術です。おかげで、以前は個別に行っていた検査をまとめてできるようになりました。
佐藤
すごい進歩ですね!令和7年4月1日(2025年4月1日)から追加されたSCIDとSMAって、どんな病気なんですか?
室谷
SCIDは「重症複合免疫不全症」といって、免疫細胞がうまく機能しない疾患です。感染症に対する抵抗力が極端に低下するため、通常の環境では生命の危険にさらされることもある重篤な病気です。一方SMAは「脊髄性筋萎縮症」で、遺伝子の問題から全身の筋力が低下する進行性の病気です。
佐藤
どちらも深刻な病気ですね。早期発見でどれくらい違うんですか?
室谷
SCIDの場合、生後2か月頃の健診問診では見分けがつかないことが多い。でも早期に発見して骨髄移植などの治療を始めれば、大きく改善できます。SMAも、近年スピンラザやゾルゲンスマなど画期的な治療薬が登場して、早期治療で劇的に症状を改善できるようになっています。
:::pointbox{title="拡大マススクリーニング(SCID・SMA)の大事なポイント"}
- 令和7年4月1日(2025年4月1日)から開始(国の実証事業として京都市が参加)
- 従来の20疾患検査と同時に行うため、追加の採血は不要
- 参加には出生医療機関から渡される「同意書」への署名が必要
- 検査結果等は個人が特定されない形で国(こども家庭庁)に報告される
- 同意撤回も可能(検査後も撤回申出書を医療機関に提出) :::
佐藤
同意書が必要なんですね。従来の20疾患は同意書なし?
室谷
従来の検査は「申出書」の提出が必要ですが、拡大マス検査(SCID・SMA)は国の実証事業なので別途「同意書」が必要です。ただし、どちらも医療機関に備え付けてあるので、入院中に手続きできます。次は申請の流れを見ていきましょう。
新生児マススクリーニングの歴史と背景
佐藤
そもそも、この制度はいつから始まったんですか?
室谷
日本での新生児マススクリーニングは、1977年(昭和52年)に始まりました。最初はフェニルケトン尿症など6疾患からスタートして、技術の進歩とともに対象が少しずつ広がってきました。
佐藤
へえ、約50年の歴史があるんですね!
室谷
そうなんです。特に大きな転換点が2004年以降のタンデムマス法の導入です。それまでは疾患ごとに別々の検査が必要でしたが、タンデムマス法のおかげで、一度の採血で20以上の疾患を一気に検査できるようになりました。これが現在の体制の基盤になっています。
佐藤
ということは、今の赤ちゃんはすごく恵まれた状況にあるわけですね。
室谷
そうです!昔は何年も症状が出るのを待ってから診断していたわけですから、早期発見の恩恵は計り知れない。厚生労働省の通知に基づいて、都道府県・政令指定都市が実施主体となっているので、全国のほぼすべての赤ちゃんが対象です。
佐藤
全国的に同じ検査が受けられるんですね。京都市は政令指定都市だから独自に実施しているんですか?
室谷
その通りです。京都市は政令指定都市なので、独自に検査委託機関を指定して実施しています。令和7年4月1日(2025年4月1日)の拡大マス検査(SCID・SMA)への参加も、国のこども家庭庁の実証事業に京都市が手を挙げる形で始まりました。
佐藤
積極的に取り組んでいるんですね。次は申請の流れをもう少し詳しく教えてください。
申請の流れ — 入院中から結果通知まで
佐藤
手続きが複雑そうで不安なんですが、実際の流れを教えてもらえますか?
室谷
基本的には入院中に医療機関がサポートしてくれるので、難しくはないですよ!(笑)手順はこんな感じです。
佐藤
6ステップで思ったよりシンプルですね!採血・指導料の公費負担を受けたい場合は、どのタイミングで動けばいいんですか?
室谷
入院中、できれば出産前に「無料受診票」を取得しておくのがベストです。区役所・支所の子どもはぐくみ室で申請できるので、妊娠中に事前に確認しておくと当日慌てないですよ。
佐藤
妊娠中から動ける話なんですね。ありがたい!対象世帯かどうか確認する方法はありますか?
室谷
市町村民税非課税かどうかは、毎年6月に届く「市・府民税(非)課税証明書」で確認できます。不安な場合は区役所の窓口で直接相談するのが確実ですよ(笑)。
:::pointbox{title="手続きのポイント"}
- 申出書・同意書は入院先の医療機関に備え付けてある
- 採血・指導料の公費負担を受ける場合は、事前に「無料受診票」を取得
- 無料受診票の交付先: お住まいの区役所・支所 子どもはぐくみ室
- 問い合わせ: 075-222-3939(京都市子ども若者はぐくみ局 代表) :::
佐藤
なるほど。では、検査結果が届いた後の流れを教えてもらえますか?特に陽性だった場合が心配で。
検査結果と陽性だった場合の対応
佐藤
もし検査結果が陽性だったら、どうなるんですか?
室谷
まず落ち着いてほしいのですが、「陽性」イコール「病気が確定」ではなく、「精密検査が必要な可能性がある」という段階です。医療機関から精密健康診査(精密検査)の受診案内が届きます。
佐藤
えっ、そうなんですね!費用はかかりますか?
室谷
京都市では精密健康診査費用も無料で受診できる「先天性代謝異常等検査精密健康診査受診票」を交付しています。ただし条件があって、京都市内に住民票がある方に限り、しかも本市が契約している精密健康診査委託医療機関での受診に限られます。
佐藤
委託医療機関じゃない病院で受けると自己負担になってしまうんですね。
室谷
そうです。どこが委託医療機関かはお住まいの区・支所子どもはぐくみ室に確認してください。精密検査で疾患が確定した場合は、その後の治療に向けた医療費支援制度にもつながっていきます。
佐藤
治療が必要になった場合の費用支援は、また別の制度になるんですか?
室谷
そうです。この検査で見つかる疾患は子ども医療費助成制度や指定難病の医療費助成制度の対象になる場合があります。また、小児慢性特定疾病医療費助成の対象になることもあるので、診断が確定したら速やかに手続きを確認することをおすすめします。
| 関連制度 | 対象 | 概要 |
|---|---|---|
| 子ども医療費助成制度 | 子どもの医療費全般 | 自治体ごとに医療費を助成 |
| 小児慢性特定疾病医療費助成 | 特定の小児慢性疾患 | 医療費の自己負担を軽減 |
| 指定難病の医療費助成制度 | 指定難病患者 | 医療費の自己負担上限を設定 |
佐藤
そういうセーフティネットがあるのは心強いですね。次は里帰り出産のケースについて聞かせてください。
里帰り出産の場合 — 対応が変わる3つのパターン
佐藤
里帰り出産って、けっこう多いと思うんですが、その場合はどうなるんですか?パターンが複雑そうで…。
室谷
里帰り出産の場合、大きく3つのパターンに分かれます(笑)。自分がどのパターンかを確認しておくのが大事です。
| パターン | 状況 | 対応 |
|---|---|---|
| A | 他都道府県在住で京都市内で出産 | 無料で検査を受けられる(採血・指導料は別途確認) |
| B | 京都市在住で京都市外で出産 | 京都市では検査費用を負担しない。出産地の自治体のルールに従う |
| C | 京都市在住で市外出産、採血・指導料を自己負担した | 一定条件を満たせば償還払い(払戻し)が可能 |
佐藤
パターンCの「償還払い」が気になります!どんな条件ですか?
室谷
令和5年4月1日(2023年4月1日)以降に出産した方で、京都市の住民票がある上記①②③の世帯(生活保護世帯・市町村民税非課税・所得税非課税)に該当し、市外医療機関での出産のため無料受診票が使えなかった場合に払戻し申請が可能です。
佐藤
マジですか!じゃあ対象の世帯なら、後から取り戻せるということですね。具体的にどんな書類が必要ですか?
室谷
区役所・支所の子どもはぐくみ室で確認できますが、主に「採血・指導料助成金交付申請書」「採血・指導実施証明書(医療機関記入)」「助成金請求書」などが必要です。代理申請の場合は委任状も必要になります(笑)。
:::warning{title="償還払いの注意点"}
- 対象期間: 令和5年4月1日(2023年4月1日)以降に採血・指導を受けた方
- 申請先: お住まいの区役所・支所 子どもはぐくみ室
- 必要書類は区役所窓口で一覧を確認してください
- 委任状は代理申請の場合のみ必要 :::
佐藤
なるほど、里帰り出産でも支援が受けられる場合があるんですね!では最後に、基本情報をまとめてもらえますか?
治療が始まったあと — 医療費支援の連携制度
佐藤
検査で疾患が確定して、実際に治療が必要になった場合の費用支援を、もう少し詳しく教えてもらえますか?
室谷
主に3つの制度が使えます。まず子ども医療費助成制度は、京都市に限らず全国の自治体が独自に設けている制度です。医療費の窓口負担を自治体が助成してくれる制度で、自治体によって対象年齢や自己負担額が異なります。
佐藤
京都市では子ども医療費助成はどういう仕組みですか?
室谷
京都市の子ども医療費助成は中学3年生まで対象で、一定の自己負担を除いた医療費を助成しています。ただし制度の詳細は変わることがあるので、最新情報は区役所に確認してください。
佐藤
なるほど。他には?
室谷
小児慢性特定疾病医療費助成が使える場合があります。マススクリーニングで発見される多くの代謝異常疾患は「小児慢性特定疾病」に指定されていて、この制度を使うと医療費の自己負担に上限が設けられるんですよ。
佐藤
それはかなり家計の助けになりますね!
室谷
そうです。さらに年齢や症状が重症化した場合は、指定難病の医療費助成制度の対象になることもあります。これも自己負担上限が設けられる制度です。診断が確定したらすぐに主治医や区役所の窓口に相談して、使える制度をフル活用してほしいですね。
:::pointbox{title="治療開始後に確認すべき関連制度"}
- 子ども医療費助成制度(詳細): 窓口負担を自治体が助成
- 小児慢性特定疾病医療費助成(詳細): 医療費の自己負担上限設定
- 指定難病の医療費助成制度(詳細): 難病指定疾患の自己負担上限設定
- 療育手帳・身体障害者手帳: 重度の障がいがある場合は手帳申請を検討 :::
佐藤
やっぱり早期発見で治療を始めれば、重大な障がいを防げる可能性があるし、医療費支援も充実しているんですね。制度の全体像がよく分かりました。では次に基本情報をまとめましょう。
制度の基本情報まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 先天性代謝異常等検査(新生児マススクリーニング) |
| 実施主体 | 京都市 |
| 対象者 | 京都市内で出生した早期新生児(保護者が検査を希望する方) |
| 実施場所 | 出産のため入院している京都市内の医療機関等 |
| 検査時期 | 生後4〜6日目 |
| 検査料 | 無料 |
| 採血・指導料 | 原則自己負担(一定世帯は公費負担) |
| 対象疾患数 | 20疾患(拡大マス検査2疾患を含む22疾患) |
| 問い合わせ | 京都市子ども若者はぐくみ局 子ども家庭支援課(代表)075-222-3939 |
| 公式ページ | 京都市公式サイト |
佐藤
手続きとしては、入院中に医療機関で「申出書」を出すのが基本で、採血・指導料の公費負担を希望する場合は事前に区役所で「無料受診票」をもらえばいい、ということですね。
室谷
その通りです!対象世帯かどうかがわからない場合は区役所に聞けば教えてもらえます。この検査は赤ちゃんの将来を守るための、とても大切な制度です。ぜひ活用してください。
多胎児(双子など)や未熟児の場合はどうなる?
佐藤
双子の場合や、未熟児として生まれた場合はどういう扱いになるんですか?
室谷
多胎児の場合は、赤ちゃん1人ひとりに対して検査を行います。採血も個別に実施されるので、双子なら2回、三つ子なら3回の採血になります。
佐藤
それぞれ別の赤ちゃんとして対応されるんですね。未熟児の場合は?
室谷
未熟児(早産児)の場合は少し注意が必要です。非常に未熟な状態で生まれた赤ちゃんは、生後の代謝が安定していないため、検査結果が見かけ上の陽性(偽陽性)になりやすい場合があります。そのため、退院後に改めて再採血を行うケースもあります。
佐藤
「偽陽性」ってどういうことですか?
室谷
実際には病気じゃないのに、検査で「要精密検査」という結果が出てしまうことです。陽性=病気の確定ではなく、精密検査へのトリガーだということをお伝えしておきたいです。特に未熟児は代謝が安定していない段階での採血になるので、落ち着いて主治医の指示に従ってください。
佐藤
心配しすぎないことも大事ですね。ほんとに?!それでも精密検査を受けるのは必須なんですか?
室谷
はい、陽性や「要精密検査」の通知が届いたら、必ず指定の医療機関を受診してください。精密検査で初めて最終的な診断が確定するので、この手順をスキップすることは絶対に避けてほしいです。仮に偽陽性だったとしても、安心のために精密検査を受けることが大切です。
佐藤
わかりました。受診票があれば精密検査費用も無料になるんですよね。それは安心です。では同じ新生児を対象とした他の検査と一緒に整理しておきたいんですが、比べてもらえますか?
室谷
いい視点です!生まれた直後の赤ちゃんには、複数の公的な検査・助成制度が用意されています。全部うまく使えると、赤ちゃんのスタートを全方位でサポートできます。
| 制度名 | 目的 | 実施時期 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 先天性代謝異常等検査(本制度) | 代謝異常・内分泌疾患の早期発見 | 生後4〜6日 | 検査料無料(採血・指導料は条件による) |
| 新生児聴覚検査の費用助成 | 聴覚障がいの早期発見 | 生後数日以内 | 自治体助成あり |
| 1か月児健康診査の費用助成 | 全身の発育・健康確認 | 生後1か月頃 | 自治体助成あり |
| 出産育児一時金 | 出産費用の助成 | 出産時 | 1児につき50万円支給 |
佐藤
全部組み合わせると、かなり手厚いサポートになるんですね!
室谷
そうです。新生児期は赤ちゃんの人生の出発点。使える制度は全部使って、最高のスタートを切ってほしいですね。
よくある質問
佐藤
最後によくある質問を聞かせてください。まず、検査を断ることはできますか?
室谷
はい、あくまで「保護者が希望する場合に受けられる」制度なので、拒否すること自体は可能です。ただ、早期発見・早期治療で防げる疾患が多くある点を考えると、受けておくことを強くおすすめします。
佐藤
拡大マス検査(SCID・SMA)の同意書にサインした後、やっぱり撤回したくなった場合はどうすればいいですか?
室谷
検査後でも同意を撤回できます。「同意撤回申出書」を記入して、検査を受けた医療機関等に提出してください。ただし、すでに行われた検査の結果データは撤回できない場合があります。
佐藤
検査結果が出るまでどれくらいかかりますか?
室谷
医療機関や検査機関によって異なりますが、概ね1〜2週間が目安です。結果は検査を受けた医療機関等から通知されます。異常が疑われる場合は、より早く連絡が届くことがあります。
佐藤
新生児聴覚検査とは別の検査ですよね?
室谷
はい、別の検査です。新生児聴覚検査の費用助成は、聴こえの障がいを早期発見するための検査で、先天性代謝異常等検査とは目的も方法も異なります。両方受けることが推奨されています。
佐藤
1か月健診のときに追加で何か確認することはありますか?
室谷
1か月健診では1か月児健康診査の費用助成が使えます。マススクリーニングの結果が出ていない場合は確認しておきましょう。また、精密検査の受診案内が届いていれば、必ず受診してください。
佐藤
検査の同意書を紛失した場合は?
室谷
入院先の医療機関に相談してください。書き直しや再提出の対応をしてもらえます。退院前に書類の控えを取っておくと安心です。
佐藤
検査を受けたかどうか、後から確認することはできますか?
室谷
基本的には、検査を受けた医療機関から結果通知が来ます。もし通知が来ない場合や、受けたかどうか不明な場合は、お住まいの区役所・支所の子どもはぐくみ室、または検査を受けた医療機関に確認してください。
佐藤
ありがとうございます。これだけ手厚い制度があるのに、意外と知らなかったです。
室谷
そうですよね。知らないと損をしてしまう制度が多いのが現実です。出産前の妊婦健診のタイミングで制度を確認しておくと、入院後に慌てなくてすみます。妊娠中に区役所へ行ったついでに聞いてみるのが一番ラクです(笑)。
佐藤
全部わかりました!この検査のおかげで、たくさんの赤ちゃんが守られているんですね。
室谷
そうです!日本全体では、毎年100万人近い赤ちゃんが受けている検査です。1977年に日本で始まって以来、何万人もの子どもたちの障がいを予防してきた実績があります。赤ちゃんのために、ぜひ漏れなく活用してください!