双子・三つ子妊婦への追加健診費、知らないと損する支援制度
佐藤
室谷さん、うちの友人が双子を妊娠したって聞いて。でも「健診の回数がすごく多くて費用が大変」って言ってたんですよ。何か助かる制度ってないですか?
室谷
あります!まさにそれをカバーする制度が「多胎妊婦の追加健康診査費用助成」です。双子・三つ子などの多胎妊婦を対象に、通常の妊婦健診14回分を超える追加受診の費用を自治体が助成してくれる仕組みなんです。
佐藤
えっ、そんな制度があるんですか!知らなかった。
室谷
こども家庭庁が「母子保健医療対策総合支援事業実施要綱」の中で定めている国の制度で、全国の市区町村が実施主体になって動かしています。令和3年度 (2021年度) 以降、各自治体で順次スタートしてきた比較的新しい支援ですね。
佐藤
14回分って、そもそも妊婦健診って何回受けるものなんですか?
室谷
単胎 (1人の赤ちゃん) の妊娠の場合、公費で助成される回数は全国的に14回分が標準です。妊婦健康診査の公費助成として全国共通の仕組みがあります。ただし双子以上の多胎妊娠は医学的にそれだけでは足りなくて、通常よりも頻繁な健診が強く推奨されているんです。
佐藤
頻繁ってどのくらい違うんですか?
室谷
多胎妊娠は早産リスクが高くて、双子だと全体の約50〜60%が早産になると言われています。だから週1回ペースで診てもらう時期も出てきて、最終的に19〜20回以上受診するケースが珍しくないんです。14回を超えた分はこれまで全額自己負担だったのが問題でした。
佐藤
そりゃ大変だ。何万円もかかりますよね。
室谷
1回の健診で5,000円〜1万円超えることも普通にありますから、数万円の自己負担が積み上がっていたんですよね。それを解消するのがこの追加助成です。

この制度で何がもらえるのか、具体的な金額を確認
佐藤
実際いくらもらえるんですか?
室谷
国の制度基準では、多胎を妊娠している妊婦1人あたり、1回5,000円分の健診費用を5回を限度として支援すると定められています。つまり最大で5,000円×5回=25,000円分の補助が受けられます。
佐藤
25,000円か。でも「5,000円分」ってことは、実際の健診費が5,000円より高かったら差額は自己負担ですか?
室谷
そうです。5,000円を超えた分は自己負担になります。ただし自治体によっては上限額を独自に引き上げているところもあって、例えば東京都北区は令和8年度 (2026年度) 以降の受診について1回5,460円を上限に助成しています。お住まいの自治体のルールを確認するのが大事ですね。
佐藤
自治体によって違うんですね。
室谷
国が補助金を出して自治体が実施する仕組みなので、助成額や手続き方法は自治体ごとに若干異なります。ただ「5回分・1回5,000円程度」という骨格はどこも共通です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成対象回数 | 通常の14回を超える分、最大5回分 (15回目〜19回目) |
| 1回あたりの助成上限 | 5,000円 (自治体により異なる) |
| 最大助成総額 | 25,000円分 (5回×5,000円) |
| 対象妊婦 | 多胎妊娠中の妊婦 |
| 実施主体 | 市区町村 |
佐藤
25,000円分って書いてますけど、「受診票」として使う方式もあるんですか?
室谷
自治体によります。受診票 (クーポン券) を追加で5枚渡して、14回分を使い切った後の15回目以降に使ってもらう方式が多いです。あるいは、一度自己負担で支払ってから後で「償還払い」で振り込んでもらう方式の自治体もあります。
佐藤
なるほど。後払い方式なら領収書を必ず取っておかないといけないですね。
室谷
正解!特に里帰り出産などで他の都道府県の医療機関を使った場合、委託契約外になって自動的に償還払いになることが多いので、領収書と診療明細書は絶対に保管してください。
:::pointbox{title="助成額の最重要ポイント"}
- 国基準: 1回5,000円×5回=最大25,000円分の助成
- 自治体によって上限額を独自に引き上げているケースあり
- 5,000円超の部分は自己負担(健診費用全額補助ではない)
- 受診票方式か償還払い方式かは自治体によって異なる :::
対象者は? 誰でも申請できるのかを整理
佐藤
誰でも使える制度ですか?条件って何かありますか?
室谷
主な条件は3つです。まず「多胎妊娠であること」、次に「申請する自治体に住民登録があること」、そして「国内の医療機関・助産所で受診すること」です。
佐藤
多胎って、双子だけですか?三つ子以上もOK?
室谷
双子・三つ子・四つ子、すべてOKです。多胎=2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠している状態なので、人数に上限はありません。
佐藤
ほんとに?じゃあ三つ子でも5回分の助成は同じなんですか?
室谷
基本的には妊婦「1人あたり」の助成なので、三つ子でも5回分は同じですね。ただし一部の自治体では独自の上乗せをしているところもあるので、三つ子以上の方はとくに地元の市区町村窓口に確認することをおすすめします。
佐藤
転居した場合はどうなりますか?たとえばA市で妊娠してB市に引っ越したとか。
室谷
転出した場合は追加受診票が使えなくなることが多いです。B市に転入後はB市の制度で改めて手続きが必要になります。妊娠中の引っ越しは手続きが複雑になりやすいので、A市とB市それぞれに早めに確認してくださいね。
:::warning{title="海外受診と転出は助成対象外になる可能性あり"}
- 海外の医療機関での受診は助成対象外
- 住民登録のある自治体以外では受診票が使えないケースが多い
- 転出した場合は転出先の市区町村に改めて確認が必要 :::
佐藤
申請のタイミングはいつですか?妊娠中に手続きするんですよね?
室谷
受診票方式の場合、母子健康手帳を交付してもらう際や妊娠の届出時に一緒に手続きするのが一般的です。償還払い方式の場合は出産後に申請する自治体が多いですね。北区の場合は「出産日から1年以内」という期限が設けられています。
佐藤
出産後か。それなら産後バタバタしてても一応猶予があるんですね。
室谷
ただし1年という期限は意外と短い。産後は想像以上に時間がなくなりますから、期限をしっかりカレンダーに書いておくのをおすすめします。
申請の流れ
佐藤
受診票方式だと後から手続きなしでいいんですね。楽だ。
室谷
そうです。ただ里帰り先など委託外の医療機関だと、自動的に償還払いになることが多い。その場合は領収書を絶対に捨てないでください。

審査ポイント・制度を上手に使うコツ
:::pointbox{title="助成を確実に受けるための5つのポイント"}
- 妊娠届は早めに 妊娠が判明したら早期に市区町村へ届出を。追加受診票を早く受け取れる
- 転居前に確認 引っ越し予定がある場合は双方の市区町村に事前確認を
- 領収書・明細書は全て保管 償還払い方式や里帰り出産の場合に必須
- 他の多胎支援も一緒に確認 多胎妊婦向けの相談支援・産後ケアなど他制度も併用可
- 申請期限を意識 出産後1年以内という期限を持つ自治体が多い :::
佐藤
何か注意しないといけないことはありますか?
室谷
制度の通知では「多胎妊婦に対して、利用できる他の事業を積極的に案内すること」と明記されています。つまりこの追加健診費だけじゃなくて、産後ケア事業の利用料助成や産婦健康診査の公費助成など他の制度もセットで確認することが大事です。
佐藤
セット使いできるんですね!
室谷
そうです。多胎妊婦向けの支援は複数あって、組み合わせると相当な経済的サポートになります。市区町村の窓口で「多胎妊娠なんですが、使える制度を全部教えてください」と聞くのが一番確実です。
佐藤
確かに。担当者に直接聞くのが早いですね。
室谷
あと健診費用の助成と関係があるかもしれないのが医療費控除(確定申告)です。助成を受けた分は控除対象から差し引く必要がありますが、自己負担分は医療費控除の対象になります。
佐藤
なるほど、確定申告でも少し取り返せるかもしれないと。
室谷
多胎妊娠は通院回数が多く医療費が積み上がりやすいので、医療費控除の10万円超えをクリアしやすい状況です。確実に申告しておきましょう。
基本情報まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 多胎妊婦の追加健康診査費用助成(多胎妊娠の妊婦健康診査支援事業) |
| 実施主体 | 市区町村(国が補助・こども家庭庁が所管) |
| 対象者 | 多胎妊娠中の妊婦(双子・三つ子以上すべて対象) |
| 助成内容 | 通常14回分を超える健診費用を最大5回分助成 |
| 助成上限 | 1回5,000円×5回=最大25,000円分(国基準) |
| 申請窓口 | 居住地の市区町村窓口・保健センター |
| 申請時期 | 妊娠届出時 または 出産後(自治体により異なる) |
| 問い合わせ | 居住地の市区町村 子育て・保健担当課 |
| 公式情報 | こども家庭庁 母子保健医療対策総合支援事業実施要綱 |
| :::pointbox{title="お問い合わせ先"} |
- 居住地の市区町村窓口または保健センターへ
- 担当: 子育て・保健担当課(自治体により名称が異なります)
- 転居予定がある場合は、転出・転入先の両市区町村にそれぞれご確認ください :::
類似・関連制度との比較
佐藤
似たような制度って他にもあるんですか?
室谷
妊婦健診関連でいうと、妊婦健康診査の公費助成が基本の制度で、この追加健診費助成は「その上乗せ版」という位置づけです。
佐藤
なるほど。産後の制度は別ですか?
室谷
そうです。産後は産婦健康診査の公費助成や産後ケア事業の利用料助成が別途あります。出産後の心身の回復を支援する制度なので、妊娠中から知っておくと安心です。
| 制度名 | 対象時期 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 妊婦健康診査の公費助成 | 妊娠中 | 単胎・多胎共通で14回分を助成 |
| 多胎妊婦の追加健診費助成 (本制度) | 妊娠中 | 多胎のみ追加5回分を助成 |
| 産婦健康診査の公費助成 | 産後 | 産後2週・1か月の健診費を助成 |
| 産後ケア事業の利用料助成 | 産後 | 産後のケアサービス費を助成 |
| 出産育児一時金 | 出産時 | 出産費用50万円を一時金で支給 |
佐藤
妊娠から産後まで段階的に支援があるんですね。
室谷
そうです。点ではなく「線」で支援する仕組みになっています。多胎の場合は各制度で「多胎ならではの特例はないか」と確認するクセをつけておくといいですよ。
よくある質問
佐藤
読者の方がよく疑問に思いそうなことを聞いてもいいですか?
室谷
もちろんです。何でも聞いてください!
佐藤
まず「妊娠中に引っ越したら制度はどうなりますか?」という疑問が多そうで。
室谷
転出した時点で元の自治体の受診票が使えなくなるのが一般的です。転入先の市区町村に多胎妊娠であることを伝えて、改めて手続きすることになります。ただし残り回数の引き継ぎ等は自治体によって違うので、両方に確認するのがベストですね。
佐藤
じゃあ「14回の受診票を全部使わなかった場合、追加分から先に使えますか?」というのは?
室谷
原則、14回分の受診票を全部使い切ってから、15回目以降に追加分を使う仕組みです。ただし一部の自治体では、有効期限のない受診票が残っていなければ15回目前でも追加分を使えるケースがあります。自治体ルールを確認してください。
佐藤
「双子の場合、各赤ちゃん1人分ずつ、つまり2人分もらえますか?」という質問もきそうですね。
室谷
これはよくある誤解なんですが、助成は「妊婦1人あたり」の計算です。双子を妊娠中であっても妊婦さんは1人なので、5回分・最大25,000円分の助成です。赤ちゃんの人数分にはなりません。
佐藤
そうか、妊婦基準なんですね。
室谷
はい。ただし三つ子以上で特別なサポートが必要な場合は、自治体窓口に相談すると個別に対応してもらえることもあります。
制度の背景と今後
佐藤
この制度っていつから始まったんですか?
室谷
令和3年度 (2021年度) から本格的に始まりました。多胎妊娠は単胎の約10倍以上の頻度で早産になると言われていて、医学的に頻回受診が欠かせない。それなのに財政的支援が追いついていなかったという課題があって、各自治体でようやく整備されてきた形です。
佐藤
10倍以上って相当なリスクですよね。
室谷
そうです。双子の場合、37週未満の早産率が50〜60%という数字もあります。だから妊娠中期から週1ペースで管理入院になるケースもあって、医療費も通常より大きくなりやすい。健診費だけでなく、入院費なども含めて総合的に費用がかさみます。
佐藤
今後、助成が拡充される可能性はありますか?
室谷
少子化対策として多胎支援は注目されているので、拡充の議論は続いています。北区のように令和6年度以降に上限額を引き上げた自治体も出ています。国の見直しに合わせて自治体ルールも変わることがあるので、妊娠中は定期的に市区町村のお知らせをチェックしておくのがおすすめです。
:::warning{title="申請漏れに注意! 5つの見落としポイント"}
- 受診票を受け取っていない(妊娠届時に多胎を伝えていない)
- 里帰り先の領収書を捨ててしまった
- 転出後に新住所での手続きを忘れた
- 出産後の申請期限(1年以内など)を過ぎてしまった
- 保険適用される健診費を助成対象と勘違いした(自費診察のみが対象) :::
佐藤
なるほど、しっかり確認しないと損しちゃうんですね。友人に教えてあげます!
室谷
ぜひ!あと多胎妊婦向けには、こども家庭庁が「ふたご、みつごを育てるあなたへ(妊娠、出産、子育てのヒント)」というPDFも公開しているので、あわせて参考にするといいですよ。
佐藤
制度のことだけじゃなくて子育てのことも書いてあるんですか。それは読んでほしいですね。
室谷
多胎育児は大変なことも多いですが、使える制度はフルに使って、少しでも経済的・精神的な負担を減らしてほしいです。制度を知ることがその第一歩ですから!