加齢性難聴と補聴器助成の背景
佐藤
室谷さん、「聞こえの応援事業」って聞いたことありますか?最近知って気になってるんですが。
室谷
もちろんですよ!京都市が令和8年度(2026年度)から新しく始めた制度で、正式名称は「聞こえの応援事業(加齢性難聴者の補聴器購入助成)」です。65歳以上の京都市民が補聴器を買うとき、最大3万円の助成が受けられるという制度ですね。
佐藤
えっ、3万円!それはありがたいですね。でも補聴器ってそんなにたくさん必要なんですか?
室谷
思っているより身近な問題なんですよ。一般的に65歳以上の約3人に1人が何らかの聴力低下を経験するといわれていて、80歳代では約半数が中等度以上の難聴を抱えているといわれています。それだけ多いのに、補聴器の価格が高くて手が出ない方が多い。
佐藤
補聴器ってそんなに高いんですか?
室谷
高いんです。片耳用の補聴器でも5〜30万円、両耳用にすると10〜60万円くらいするものもあります。それで「聞こえが悪くなっても買えない」という高齢者の方が多いんですよ。
佐藤
ほんとに?それは困りますよね。聞こえないと日常生活も大変そうですし。
室谷
それだけじゃなくて、難聴を放置すると認知症のリスクが上がるという研究もあるんです。聴力が落ちると、脳への刺激が減ったり、社会参加が減って孤立しやすくなったりして、認知機能の低下につながりやすい。だから京都市がこの制度を始めた背景には、介護予防・認知症予防・社会参加促進という目的があるんですね。
佐藤
なるほど!補聴器の助成ってお金の問題だけじゃなくて、もっと大きな意味があるんですね。
室谷
まさにそうです。「補聴器をつけて運動教室に参加する」というステップが申請要件になっているのも、補聴器を実際に使って社会とつながり続けてほしいという京都市のメッセージなんですよ。申請の具体的な流れはこの後説明しますが、その前に助成額の話をしましょう。
助成額・補助率の詳細

佐藤
助成額は最大3万円ということでしたが、どういう計算式で決まるんですか?
室谷
「補聴器本体の購入費の2分の1」と「3万円」のどちらか少ない方が助成額です。つまり安い補聴器だとその半額がもらえて、ある程度高い補聴器だと一律3万円もらえる、という仕組みです。
佐藤
少し複雑ですね。具体例で見せてもらえますか?
室谷
わかりました。購入費別にまとめますね。
| 補聴器本体の購入費 | 2分の1の額 | 助成額(上限3万円) | 自己負担額 |
|---|---|---|---|
| 1万円 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
| 2万円 | 1万円 | 1万円 | 1万円 |
| 4万円 | 2万円 | 2万円 | 2万円 |
| 6万円 | 3万円 | 3万円(上限) | 3万円 |
| 10万円 | 5万円 | 3万円(上限) | 7万円 |
| 20万円 | 10万円 | 3万円(上限) | 17万円 |
| 30万円 | 15万円 | 3万円(上限) | 27万円 |
佐藤
なるほど、6万円以上の補聴器を買った場合は一律3万円になるんですね。
室谷
そうです。両耳・片耳問わず最大3万円ですね。高い補聴器でも「購入費の半額が全額もらえる」わけじゃなくて、最大3万円で頭打ちになります。ただ3万円の助成はやはり助かりますよ。
佐藤
1回だけですよね?毎年もらえるわけじゃないですよね?
室谷
1回です。ただ交付の決定日から5年を経過した場合には、再度申請が可能です。補聴器の耐用年数が大体5〜7年なので、買い替えのタイミングに合わせた設計ですね。
対象者・申請資格
佐藤
65歳以上なら誰でも申請できるわけじゃないんですよね?
室谷
少し条件があります。まず絶対に抑えておきたいのが、身体障害者手帳(聴覚障害)の交付を受けていない方が対象であることです。
:::warning{title="身体障害者手帳(聴覚障害)をお持ちの方"} 聴覚障害を理由として身体障害者手帳をお持ちの方は、この「聞こえの応援事業」は対象外です。そういった方には別途「補装具費支給制度」という制度がありますのでご確認ください。ただし、聴覚障害以外の理由で別の障害の手帳をお持ちの方は、この制度の申請対象になる場合があります。 :::
佐藤
ああ、補装具費支給制度とは別なんですね。じゃあ「加齢性難聴だけど手帳はない」という人のための制度?
室谷
まさにそういう方のためです。聞こえが悪くなってきたけど障害認定は受けていない、という高齢者を支援する仕組みですね。対象要件は全部で5つあって、5つすべて満たさないと申請できない点が特徴です。
| 要件番号 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 1 | 申請日時点で京都市に住民登録、補聴器購入時点で満65歳以上 | 住民票が京都市にあること |
| 2 | 地域介護予防推進センターが実施する「加齢性難聴の講座」に参加 | 例外あり(後述) |
| 3 | 協力医療機関で補聴器相談医等から「補聴器が必要」と判断 | 指定医療機関のみ有効 |
| 4 | 対象補聴器販売店で補聴器を購入し、調整を受けた(試用期間含む) | 指定店舗のみ有効 |
| 5 | 補聴器をつけて地域介護予防推進センターの運動教室等に参加 | 例外あり(後述) |
佐藤
ステップが多いですね!講座に参加して、医療機関に行って、販売店で買って、さらに運動教室にも参加する…。
室谷
そうなんです(笑)。でもそれぞれに意味があります。講座で知識をつけて、医師に判断してもらって、専門店で調整してもらって、実際に補聴器をつけて社会参加する。補聴器を「使いこなせる人」にサポートするというコンセプトですね。
佐藤
講座への参加って、仕事してる人はキツいですよね?
室谷
その点は例外があります。就労のため平日の日中に参加できない方や、要介護認定を受けている方などは、専用の申出フォームから連絡すれば別の方法で要件を満たせる場合があります。また、すでに協力医療機関を受診して講座と同等の説明を受けた方は、フォームからの申出は不要です。
佐藤
柔軟に対応してくれるんですね。じゃあ対象の医療機関と販売店はどうやって探すんですか?
室谷
公式サイトにリストが掲載されています。販売店の要件は3種類あって、①認定補聴器専門店、②認定補聴器技能者が補聴器の調整・販売を行う店舗または協力医療機関、③言語聴覚士が補聴器の調整・販売を行う協力医療機関、のいずれかです。ちゃんとした資格を持つ専門家がいる店、という基準ですね。
佐藤
対象外の店でうっかり買っちゃったらどうなるんですか?
室谷
それは対象外になってしまいます。だから購入前に必ず公式サイトで販売店の対象確認をすることがとても大事です。事前確認を怠ると、全額自己負担になってしまうので要注意ですよ。
対象経費・対象外経費

佐藤
対象になる費用とならない費用って具体的に何ですか?
室谷
まず大前提として、助成対象は医療機器認証を受けた補聴器本体のみです。補聴器にまつわるいろんな費用のうち、助成されるのは本体代だけです。
佐藤
じゃあ電池とかは含まれないんですね?
室谷
含まれません。対象外になるものを整理しますね。
| 費用の種類 | 具体例 | 対象 |
|---|---|---|
| 補聴器本体 | 耳あな型・耳かけ型・ポケット型補聴器 | ○ 対象 |
| 集音器・補聴グッズ等 | 医療機器認証なしの製品、アプリ | ✕ 対象外 |
| 修理費・調整費 | 購入後の修理、フォローアップ調整 | ✕ 対象外 |
| 付属品単体 | 電池、イヤーモールド、乾燥剤など | ✕ 対象外 |
| 受診料・検査料 | 医療機関での診察・聴力検査 | ✕ 対象外 |
| 証明書料・文書料 | 医師の意見書作成、証明書発行 | ✕ 対象外 |
| 送料 | 通信販売での配送費 | ✕ 対象外 |
佐藤
「集音器は対象外」っていうのが意外でした。補聴器と集音器って何が違うんですか?
室谷
大きな違いがあります。補聴器は国が認可した医療機器で、個人の聴力に合わせて細かく調整できます。集音器は医療機器ではなく、ただ音を大きくするだけの装置です。価格は集音器の方が安いですが、個人に合った調整ができないので補聴効果が低いことが多いんです。
佐藤
マジですか!ちゃんとした補聴器を選んだ方がいいんですね。
室谷
そうです。補聴器には種類があって、主に「耳あな型」「耳かけ型」「ポケット型」の3種類があります。それぞれ特徴が違うので、対象の補聴器販売店で専門家に相談しながら自分に合ったものを選びましょう。
| 種類 | 特徴 | こんな方に向いている |
|---|---|---|
| 耳あな型 | 耳の穴に入れるタイプ。目立ちにくい | 見た目が気になる方、軽度〜中等度の難聴 |
| 耳かけ型 | 耳の後ろにかけるタイプ。最も種類が多い | 中等度〜重度の難聴、初めて補聴器を使う方 |
| ポケット型 | 本体を胸ポケット等に入れるタイプ | 指先の操作が苦手な方、重度の難聴 |
佐藤
なるほど。補聴器の種類まで考えないといけないんですね。あと「令和8年4月以降に購入したもの」という条件もありましたよね?
室谷
そうです。令和8年(2026年)4月1日以降に対象の補聴器販売店で購入した補聴器が対象です。それ以前に購入したものは対象になりませんので注意してください。申請開始は10月1日ですが、補聴器自体は4月から購入可能です。
佐藤
4月以降に買って、10月1日から申請すればいいんですね。じゃあ実際の申請の流れに進みましょう!
申請の流れ
室谷
申請の流れには独特のステップがあります。順番が大事なので、手引きを読みながらひとつひとつ確認しながら進めてください。
佐藤
ステップ2〜5は令和8年10月1日より前からやっていいんですよね?
室谷
そうです!公式ページにも「要件を満たすための取組は申請開始前から実施いただけます」と明記されています。つまり今から講座の予約をして、医療機関の受診を済ませて、補聴器の購入・調整・運動教室参加まで終わらせておいて、10月1日に一気に申請するというのがベストな流れです。
佐藤
なるほど!そう考えると、今すぐ動き始めた人が有利ですね。
室谷
まさにそうです。補聴器の試用期間が必要な場合もあるし、協力医療機関は予約が混むかもしれません。早めに動くのが正解です。
審査のポイント・攻略法
佐藤
申請を確実に通すコツってありますか?
室谷
「助成が受けられなかった」という事態を避けるために、いくつかポイントがあります。
:::pointbox{title="合格申請のための6つのポイント"}
- 「助成要件確認書」を必ず持参する — 講座・医療機関・販売店・運動教室の全ステップで同じ書類に記入してもらいます。書類を忘れると手続きが進みません
- 事前に対象機関かどうか確認する — 協力医療機関・対象補聴器販売店の一覧は公式サイトで確認。リスト外の医療機関・店舗は助成対象外です
- 補聴器は「医療機器認証あり」を確認する — 集音器や認証なしの製品は対象外。購入前に「これは医療機器認証を受けた補聴器ですか?」と確認しましょう
- 4月1日以降の購入であることを確認 — 令和8年4月1日より前に購入したものは対象外
- 購入後1年以内に申請する — 補聴器購入の翌日から数えて1年以内が申請期限。期限を過ぎると助成が受けられません
- 予算上限を意識して早めに申請する — 先着順で予算上限に達し次第終了。令和8年10月1日になったら早めに申請するのがおすすめです :::
佐藤
「予算上限次第終了」というのが一番怖いですね。何件くらいまで受け付けるんですか?
室谷
公式ページには具体的な件数は書かれていないんですが、予算があるので上限は必ずあります。「まだ大丈夫だろう」と後回しにしないで、準備が整ったらすぐ申請するのが正解です。
佐藤
わかりました。注意点もまとめてもらえますか?
:::warning{title="これをやると対象外になります"}
- 協力医療機関以外の医療機関で受診した場合
- 対象補聴器販売店以外で補聴器を購入した場合
- 集音器など医療機器認証を受けていない製品を購入した場合
- 令和8年3月31日以前に購入した補聴器
- 補聴器の修理費・調整費・付属品単体の費用を申請した場合
- 補聴器購入の翌日から1年を超えて申請した場合 :::
佐藤
これを全部クリアしてから申請するってことですね。次に基本情報をまとめてもらえますか?
基本情報まとめ
室谷
この制度の基本情報を一覧で整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 聞こえの応援事業(加齢性難聴者の補聴器購入助成) |
| 正式な補助金名 | 京都市高齢者補聴器購入費助成 2026 |
| 助成額 | 上限3万円(購入費の2分の1と3万円のいずれか少ない額) |
| 対象者 | 満65歳以上の京都市民(身体障害者手帳・聴覚障害のない方で5要件を満たす方) |
| 対象経費 | 医療機器認証を受けた補聴器本体(令和8年4月1日以降購入分) |
| 申請開始日 | 令和8年(2026年)10月1日(木) |
| 申請方法 | 郵送または持参(健康長寿企画課・各区役所支所) |
| 申請期限 | 補聴器購入翌日から1年以内(予算上限到達次第終了) |
| 再申請 | 交付決定日から5年経過後に申請可能 |
| 実施機関 | 京都市保健福祉局健康長寿のまち・京都推進室健康長寿企画課 |
| 電話番号 | 075-222-3417 |
| 受付時間 | 午前9時〜12時、午後1時〜5時(土日祝・年末年始を除く) |
| 窓口所在地 | 〒604-8571 京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488 京都市役所北庁舎4階 |
| 公式ページ | 京都市聞こえの応援事業公式ページ |
佐藤
わかりやすいですね。区役所でも申請できるんですか?
室谷
手引きの配布は各区役所・支所(健康長寿推進課)でも対応しています。申請書類の提出先は健康長寿企画課(市役所北庁舎4階)または郵送が基本ですが、不明な点は電話(075-222-3417)で確認してみてください。
類似する補助金との比較
佐藤
似たような制度は他にもありますか?
室谷
補聴器や聴力に関連する制度はいくつかあります。この「聞こえの応援事業」は一般高齢者向けですが、年齢や障害の程度によって使える制度が違います。
:::pointbox{title="補聴器・難聴に関連する主な制度の比較"}
- 京都市軽・中等度難聴児の補聴器購入費助成 — 身体障害者手帳の対象外となる軽・中等度の難聴がある18歳未満の子ども向け制度。世帯所得に応じて助成額が決まります。難聴のある子どものいるご家族はこちらも確認を
- 介護保険制度(要介護認定) — 加齢性難聴が進んで要支援・要介護状態になった場合に使える制度。デイサービスや訪問介護など、幅広い支援を受けられます
- 医療費控除(確定申告) — 補聴器購入費が一定額を超えた場合、確定申告で医療費控除を受けられる場合があります。自己負担分が大きい場合は税務署に相談を :::
佐藤
京都市軽・中等度難聴児の補聴器購入費助成は子ども向けなんですね。家族に子どもと高齢者の両方がいる場合は、それぞれ別制度を使えるんですか?
室谷
そうです。年齢や状況によって使える制度が違うので、家族全員の状況を確認してみるといいですね。難聴は年齢問わず起こりえますから。
佐藤
医療費控除との組み合わせはどうですか?
室谷
補聴器購入費の助成(3万円)を受けた後、残りの自己負担分について医療費控除を申請できる可能性があります。ただし補聴器が医療費控除の対象になるかどうかは条件があります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が認定した補聴器相談医が発行する「補聴器適合に関する診療情報提供書」が必要ですので、受診時に医師に確認してみてください。
佐藤
なるほど!ダブルで節約できるかもしれないんですね。賢いですね。
よくある質問
佐藤
最後によくある質問をまとめてもらえますか?
室谷
はい、申請前によく聞かれる疑問をまとめます。
佐藤
疑問が全部解消されました!最後に、これから申請を考えている方へのアドバイスをお願いします。
室谷
申請開始の令和8年10月1日に備えて、今すぐお住まいの地域の地域介護予防推進センターに連絡して、加齢性難聴の講座の日程を確認するのが最初の一歩です。講座への参加は申請前から進められますし、協力医療機関の受診も並行して進められます。
佐藤
今から動いておくんですね!
室谷
補聴器の試用期間を設けている店舗もありますし、医療機関の予約が混む可能性もあります。先手を打って準備しておくのが確実ですよ。「聞こえが気になってきた」と感じたら、まず地域介護予防推進センターへの問い合わせから始めてみてください(笑)!
佐藤
ありがとうございました!聴力の問題は本人も気づきにくいから、家族からの声かけも大事ですよね。
室谷
そうです!「最近テレビの音が大きくなった」「聞き返しが多くなった」というサインを見逃さないようにしてください。早期対処が認知症予防にもつながります。
:::pointbox{title="申請窓口・お問い合わせ先"} 京都市保健福祉局健康長寿のまち・京都推進室健康長寿企画課
- 電話: 075-222-3417
- 所在地: 〒604-8571 京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488 京都市役所北庁舎4階
- 受付時間: 午前9時〜12時、午後1時〜5時(土日祝・年末年始を除く)
- 公式ページ :::