医療費・支援制度

月負担1〜2万円|B型・C型肝炎の医療費助成(肝炎治療特別促進事業)徹底解説【2026年度】

B型・C型ウイルス性肝炎のインターフェロン治療や核酸アナログ製剤治療等の医療費を、所得に応じ月1〜2万円の自己負担まで軽減する制度。

B型・C型肝炎の治療費、こんなに助成されるの?

佐藤
室谷さん、肝炎の治療って薬代がかなり高いって聞いたんですけど、そのための助成制度があるんですか?
室谷
あるんですよ、それが「肝炎治療特別促進事業」です。B型とC型の肝炎について、インターフェロン治療や核酸アナログ製剤治療、それにC型肝炎のインターフェロンフリー治療にかかる医療費を、都道府県が助成してくれる制度です。
佐藤
えっ、都道府県が助成してくれるんですか!
室谷
そうです。国の制度を受けて、全国の都道府県が実施しています。この制度のポイントは、所得に応じて患者の月の自己負担をグッと抑えてくれるところにあります。
佐藤
どのくらい抑えてくれるんですか?
室谷
自己負担は月額1万円か2万円が上限です。世帯の市区町村民税(所得割)の課税年額によって階層が決まります。非課税世帯なら自己負担なし、課税年額235,000円未満なら月1万円まで、235,000円以上なら月2万円までです。
佐藤
非課税世帯はゼロなんですか!それはありがたい制度ですね。
室谷
肝炎の治療薬って、特にインターフェロンフリー治療の薬は1コース数十万円以上かかることもある。それが月1万円や2万円で受けられるというのは、かなり大きな支援ですよね。

自己負担の仕組み

そもそも、なぜこんな制度があるの?

佐藤
国がわざわざこういう制度を作ったのには理由があるんですよね?
室谷
あります。B型とC型のウイルス性肝炎は、日本で最大規模の感染症のひとつです。放置すると肝硬変や肝がんに進行するリスクがあるんですが、抗ウイルス治療でそれを防げるんです。
佐藤
なるほど、予防の観点から助成しているわけですね。
室谷
そうです。問題は治療費が高いこと。月額の医療費が高額になる、あるいは長期治療になるから累積コストが大きくなる。それが「治療を諦める」理由になってしまうんです。
佐藤
治療費が高いせいで病気が進んでしまう、というのは困りますね。
室谷
だから国が「肝炎治療特別促進事業」として医療費助成の仕組みを作り、患者さんが医療機関に行きやすくした。結果として将来的な肝硬変・肝がんの予防にもつながる、という考え方です。
佐藤
医療費の支援が、将来の重大疾患の予防にも役立つというわけか。一石二鳥ですね。
室谷
そうですね。国と都道府県が連携して、国内の肝炎患者さんをしっかりサポートする体制を作っているんです。

対象になる治療は?どんな人が使える?

佐藤
具体的にどんな治療が助成の対象なんですか?
室谷
大きく分けて3つのカテゴリがあります。まずB型肝炎のインターフェロン治療、次にB型肝炎の核酸アナログ製剤治療、そしてC型肝炎のインターフェロン治療とインターフェロンフリー治療です。
佐藤
インターフェロンフリーって何ですか?
室谷
C型肝炎の比較的新しい治療法で、インターフェロンを使わずに飲み薬だけで治療するものです。マヴィレット配合錠やエプクルーサ配合錠などがあって、副作用が少なく治療期間も短い。ただその分、薬代が高いんです。
佐藤
それが助成の対象になるんですね。マジですか、それはありがたい!

:::pointbox{title="助成対象となる主な治療"}

  • B型肝炎インターフェロン治療: B型慢性活動性肝炎に対するインターフェロン・ペグインターフェロン単剤療法
  • B型肝炎核酸アナログ製剤治療: B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ製剤(エンテカビル、テノホビルなど)治療
  • C型肝炎インターフェロン治療: C型慢性肝疾患の根治を目的としたインターフェロン・ペグインターフェロン単剤、リバビリン併用療法
  • C型肝炎インターフェロンフリー治療: HCV-RNA陽性のC型慢性肝疾患に対する経口抗ウイルス薬治療(マヴィレット、エプクルーサ等) :::
佐藤
では、誰でも使えるんですか?
室谷
いくつか要件があります。まず、お住まいの都道府県の区域内に住所があること。そして専門医による診断書が必要で、認定基準を満たしていることが条件になります。
佐藤
どんな認定基準ですか?
室谷
B型肝炎の場合、HBe抗原陽性でHBV-DNA陽性のB型慢性活動性肝炎であることや、肝がんの合併がないことなどが条件です。C型のインターフェロンフリー治療は、HCV-RNA陽性のC型慢性肝疾患で、インターフェロンを含まない抗ウイルス治療を行う予定か実施中の方が対象です。
佐藤
専門的な基準なんですね。これは自分で判断するより、医師に確認するのが一番ですね。
室谷
まさにそうです。かかりつけ医から肝臓専門医療機関を紹介してもらって、専門医に相談するのが最初のステップになります。申請に必要な診断書も、日本肝臓学会の肝臓専門医が作成することになっています。

自己負担の計算方法を詳しく教えて

佐藤
さっき自己負担が月1万円か2万円って言ってましたけど、もう少し詳しく教えてもらえますか?
室谷
世帯全体の市区町村民税(所得割額)の課税年額で3つの階層に分かれます。
階層区分 月の患者一部負担額
世帯の市区町村民税(所得割・均等割とも)非課税 0円(負担なし)
世帯の市区町村民税(所得割)課税年額235,000円未満 月10,000円まで
世帯の市区町村民税(所得割)課税年額235,000円以上 月20,000円まで
佐藤
「世帯」って何人の範囲ですか?自分だけ?
室谷
住民票上の世帯全員です。ただし、同一住民票の世帯でも実質的に生計を別にしている方(要件あり)は、合算対象から除外を申請できます。
佐藤
たとえば同居している親が高収入でも、実際の家計は別なら影響しないこともある?
室谷
申請によって可能な場合があります。ただし配偶者は除外できません。この点は申請時に窓口でよく確認してください。
佐藤
あと、自己負担の2に「入院時食事療養・生活療養標準負担額」というのが入ってましたが、これは?
室谷
入院中の食費や生活費の部分は助成されない、ということです。保険外の室料差額なども助成対象外です。あくまで保険診療の患者負担分が助成の対象になります。
佐藤
なるほど。では、高額療養費との関係はどうなるんですか?
室谷
高額療養費で健康保険から支給される分は、この制度の助成額には含まれません。ざっくり言うと、まず健康保険で3割負担になって、さらに高額療養費の払い戻しがあって、その残った分をこの助成制度でカバーするイメージです。
佐藤
重ねて使えるわけですね!ほんとにサポートが手厚い。

助成期間はどのくらい?

佐藤
助成はずっと続くんですか?
室谷
治療の種類によって期間が違います。基本的には申請月の初日から1年間ですが、インターフェロンフリー治療の薬によって3〜7か月の短期間のものもあります。
対象治療 助成期間
B型肝炎インターフェロン治療 1年間(2回目まで、例外的に3回目あり)
B型肝炎核酸アナログ製剤治療 1年間(医師が必要と判断した場合は更新可)
C型肝炎インターフェロン治療 1年間
C型肝炎インターフェロンフリー治療(短期薬剤) 3〜7か月(薬剤によって異なる)
佐藤
核酸アナログ製剤治療は更新できるって書いてありましたね。それはありがたい。
室谷
B型肝炎の核酸アナログ製剤治療は、ウイルスを完全に排除するのが難しくて長期間の服薬が必要になることが多い。だから医師が継続必要と判断した場合は更新できる仕組みになっています。ただし、更新には再度の申請が必要です。
佐藤
更新し忘れたら助成が切れてしまうんですね。注意が必要ですね。
室谷
そうです。更新時期が近づいたら早めに準備しましょう。

申請の流れを教えて

佐藤
実際に申請するにはどうすればいいんですか?流れを教えてもらえると助かります。
室谷
まずはかかりつけ医に肝炎治療の相談をして、そこから肝臓専門医療機関を紹介してもらうところから始まります。

申請の流れ

佐藤
2か月かかるんですね。治療が急ぎの場合はどうするんですか?
室谷
その場合は、医療券が届くまでの間に支払った医療費を後から請求して払い戻しを受ける方法があります。ただし、高額療養費として健康保険から支給される分は払い戻しの対象にはなりません。
佐藤
後から申請すれば大丈夫なんですね。安心しました。

申請に必要な書類は?

佐藤
申請書類はかなり多そうですが、何が必要なんですか?
室谷
主な書類は6種類です。具体的な書式は都道府県や区市町村によって異なる場合がありますが、基本的には以下の通りです。
書類 詳細
肝炎治療受給者証交付申請書 区市町村窓口またはウェブサイトで入手
医師の診断書 日本肝臓学会肝臓専門医が作成した所定の様式
住民票(世帯全員・続柄記載) 発行から3か月以内のもの、コピー不可
市区町村民税の課税状況証明書類 課税・非課税証明書または納税通知書の写しなど
健康保険の資格確認書類 資格確認書の写し等(マイナンバー情報連携を使う場合は省略可)
個人番号に係る調書 マイナンバーを利用した情報連携を行う場合に提出
佐藤
マイナンバーを使うと資格確認書類が省略できるんですね。令和8年(2026年)2月からマイナンバーによる情報連携が始まったとのことで、活用できそうです。
室谷
そうなんです。マイナンバーカードを持っている方は、手続きが少し楽になっています。

:::warning{title="申請前に必ず確認すること"}

  • 診断書は「東京都が指定する肝臓専門医療機関」の「日本肝臓学会肝臓専門医」が作成したものでないと受け付けてもらえません
  • 住民票は世帯全員分が必要で、続柄の記載が必要です(コピー不可)
  • 申請月によって添付する課税証明書の年度が異なります(4〜6月申請は前年度分、7〜3月申請は当年度分)
  • 申請書類はメール送付等での提出はできません(窓口への直接提出が原則) :::
佐藤
診断書の条件が厳しいんですね。専門医療機関でないとダメなんですか。
室谷
そうです。ただ、それはかかりつけ医から紹介してもらえますから、まずかかりつけ医に相談することが重要です。自分で直接専門医療機関を探す必要はありません。

審査のポイントと申請を通すコツ

佐藤
申請が通らないこともあるんですか?
室谷
認定基準を満たしていれば通りますが、書類の不備で差し戻しになるケースはあります。特に多いのが、診断書の様式が古かったり、指定医療機関以外の医師が書いた診断書を持ってきてしまうケースです。
佐藤
なるほど、書類の準備が大事なんですね。
室谷
そうです。診断書は必ず「都道府県が指定する肝臓専門医療機関」に在籍する「日本肝臓学会肝臓専門医」が作成したものでないといけません。様式も治療の種類によって異なります。インターフェロン治療用、核酸アナログ製剤治療用(新規)、核酸アナログ製剤治療用(更新)、インターフェロンフリー治療用(新規)などがあります。
佐藤
種類が多い(笑)!これは専門医に確認してもらうのが確実ですね。
室谷
そうです。診断書を書いてもらう専門医に「今回はどの様式が必要ですか」と確認するのが一番です。
佐藤
住民票はどのくらい前のものが使えますか?
室谷
発行から3か月以内のもので、世帯全員分かつ続柄が記載されているものが必要です。コピーは不可です。原本を用意してください。
佐藤
課税証明書の年度も注意が必要でしたよね?
室谷
4月から6月に申請する場合は前年度分の課税証明書が必要で、7月から3月に申請する場合は当年度分です。年度を間違えると差し戻しになりますから要注意です。

:::warning{title="申請が差し戻しになりやすいパターン"}

  • 診断書の様式が治療の種類と合っていない(例: 更新用なのに新規用を使っている)
  • 診断書を書いた医師が指定医療機関の日本肝臓学会肝臓専門医でない
  • 住民票が3か月以上前のもの、または続柄が記載されていない
  • 課税証明書の年度が申請月と合っていない
  • 申請書をメールや郵送で提出しようとした(窓口直接提出が原則) :::
佐藤
これだけ確認ポイントがあると、窓口に行く前にしっかり準備しないといけませんね。
室谷
そうです。窓口に問い合わせて必要書類のリストをもらっておくか、都道府県・区市町村のホームページで確認しておくことをお勧めします。東京都の場合は保健医療局のページに詳細が載っています。
佐藤
では、申請前に窓口に電話して確認するのが一番の近道ですね。
室谷
まさにそうです。治療中に制度を使わないのはもったいないですから、早めに動いてほしいです。次は具体的にどんな疑問が多いか見てみましょう。

こんな場合はどうする?よくある疑問

佐藤
申請してから医療券が届くまでの2か月間、治療をしなくていいんですか?
室谷
いいえ、治療は続けられます。その間に払った医療費は後から都に請求して払い戻しを受けられます。ただし、健康保険から高額療養費として支給される分は払い戻しの対象外です。
佐藤
他の都道府県に引っ越した場合はどうなりますか?
室谷
医療費助成は都道府県が実施しているので、引っ越し先の都道府県で新たに申請が必要になります。転入先の担当窓口に早めに相談しましょう。
佐藤
治療が副作用で中断せざるを得なくなった場合は?
室谷
抗ウイルス治療を中断した後の副作用の治療費は、この助成制度の対象外になります。ただし、重篤な副作用の場合は「医薬品副作用被害救済制度」(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が活用できる可能性があります。
佐藤
いくつか選択肢があるんですね。
室谷
そうです。副作用が心配な方は主治医と十分に話し合って、治療方針を決めることが大切です。

:::pointbox{title="制度のポイントまとめ"}

  • 自己負担上限: 月1万円(中所得層)または月2万円(上位所得層)。非課税世帯は0円
  • 助成対象: B型・C型肝炎の主要な抗ウイルス治療(保険診療内のもの)
  • 申請先: 住所地を管轄する区市町村の担当窓口
  • 診断書: 日本肝臓学会肝臓専門医が作成したものが必須
  • 医療券交付: 申請から約2か月かかる。待機期間中の医療費は後から払い戻し請求可
  • 更新: 核酸アナログ製剤治療は継続が必要な場合に更新可(再申請が必要) :::

仕事はどうなる?働きながら治療する場合は?

佐藤
B型・C型肝炎の治療って、働きながら受けられるものなんですか?
室谷
治療の種類によります。核酸アナログ製剤治療は飲み薬なので、通院しながら仕事を続けられるケースが多いです。一方、インターフェロン治療は注射による治療で副作用が強いこともあります。
佐藤
副作用が強いと仕事を休まなければいけないこともあるんですか?
室谷
はい、倦怠感や発熱、うつ症状などが出ることもあって、治療期間中に休職や就業制限が必要になる方もいます。そういう場合は、傷病手当金の活用も検討してみてください。
佐藤
傷病手当金は治療のために仕事を休んだときに使えるんですよね?
室谷
そうです。健康保険(協会けんぽや組合健保)に加入している方が、療養のために仕事を休んで給与が支払われない期間について、標準報酬月額のおよそ3分の2が支給される制度です。肝炎治療による就労困難も対象になります。
佐藤
それはありがたいですね。医療費の助成と傷病手当金を組み合わせれば、経済的な不安はかなり減りますね。
室谷
そうです。治療に専念するために使える支援制度はいくつもありますから、ひとつひとつ確認してほしいです。
佐藤
自営業の方はどうなるんですか?傷病手当金は対象外でしたよね?
室谷
国民健康保険の方は基本的に傷病手当金の対象外です。でも、肝炎治療特別促進事業の医療費助成は使えますし、確定申告で医療費控除も活用できます。各自治体によっては独自の支援がある場合もありますので、お住まいの市区町村に相談してみてください。

他の制度と一緒に使えるの?

佐藤
この制度って、他の医療費支援制度と組み合わせることはできますか?
室谷
できます。肝炎治療は長期間にわたることが多いので、他の制度もうまく活用してほしいですね。
佐藤
たとえばどんなものと組み合わせられますか?
室谷
まず高額療養費制度です。健康保険の高額療養費で保険診療の3割負担分がさらに軽減され、その上に肝炎治療の助成が乗っかるので、実質的な負担はかなり抑えられます。
佐藤
二重に守られるんですね。
室谷
それから医療費控除(確定申告)も使えます。年間の医療費が10万円を超えた場合(所得が200万円未満の場合は所得の5%)、確定申告で医療費控除として所得控除を受けられます。肝炎治療の自己負担分も対象になります。
佐藤
なるほど、年間の医療費をまとめて申告するんですね。
室谷
他にも、もし肝炎が原因で日常生活に支障が出るほど重篤になった場合は、指定難病の医療費助成制度の対象になる可能性もあります。肝炎そのものは指定難病ではありませんが、肝硬変が進んだ場合などに適用になる疾患もあります。
佐藤
状況によっていろんな制度が使えるんですね。
室谷
肝炎治療は長期戦になることが多いですから、使える制度はフルに活用して、少しでも経済的な負担を減らしてほしいです。

基本情報まとめ

佐藤
最後に、この制度の基本情報をまとめて教えてもらえますか?
室谷
もちろんです。以下の表に主要な情報をまとめました。
項目 内容
制度名 肝炎治療特別促進事業(B型・C型肝炎の医療費助成)
実施主体 都道府県(全国47都道府県)
自己負担上限 月0円〜2万円(所得によって異なる)
対象治療 B型・C型肝炎のインターフェロン治療、B型肝炎核酸アナログ製剤治療、C型肝炎インターフェロンフリー治療
助成期間 治療の種類によって3か月〜1年(更新可能なものあり)
申請窓口 住所地を管轄する区市町村の担当窓口
医療券交付 申請から約2か月
公式情報(厚生労働省) 肝炎治療特別促進事業
佐藤
この制度って、申請さえすれば確実に助成を受けられるんですか?
室谷
認定基準を満たしていれば受けられます。認定基準を満たしているかどうかの判断は専門医が診断書で行いますので、まずは医師に相談するのが第一歩です。
佐藤
わかりました。肝炎で治療費が心配な方は、まずかかりつけ医に相談してみる、ということですね。
室谷
そうですね。制度を知らないまま高い自己負担を払い続けている方も残念ながらいます。肝炎治療を受けている方やこれから受ける予定の方は、ぜひ担当窓口に確認してみてください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、制度は改正される場合があります。最新の要件・金額は必ず上記の公式ページや窓口でご確認ください。