「この前の検査の数値、どう受け止めればいいんだろう」「お薬の飲み方、もう一度確認したいけれど、わざわざ電話するほどでもないかな」――診察室を出たあとに、ふと小さな疑問が浮かぶこと、ありませんか。聞きそびれた質問や、家に帰ってから気になったこと。そんな「ちょっとしたこと」を、いつでも手のひらから受け取れたら、毎日の健康とのつき合い方が少し楽になるかもしれません。

和ごころLINEの「デジタル健康教育百科」は、お近くの診療所・病院のLINE公式アカウントを通じて、やさしくわかりやすい健康情報を定期的にお届けする地域の取り組みです。スマートフォンに届く一通のメッセージが、あなたの身近な健康サポーターになることを目指しています。むずかしいことは何もありません。いつものLINEに、健康とのつき合い方をそっと支える便りが届く――それだけのことです。

スマートフォンに健康のメッセージが届くイラスト
図1:手のひらのスマートフォンに、やさしい健康のメッセージが届きます。

この活動とは

デジタル健康教育百科は、ふだん利用している診療所や病院のLINE公式アカウントから、季節の健康の話題、生活習慣のヒント、受診の前に知っておくと安心な情報などを、短く読みやすいメッセージとして配信する活動です。難しい専門用語はできるだけかみくだき、文字が大きく読みやすい形でお届けします。一つひとつの配信は、忙しい合間にもさっと目を通せるよう、短くまとめることを心がけています。

大切にしているのは、「特別なことをしなくても受け取れる」ということです。すでにお使いのLINEに届くので、新しいアプリを覚える必要はありません。ふだん家族や友人と連絡を取り合っているのと同じ画面に、健康の便りがそっと加わるイメージです。配信する情報は、公的機関の発信や学術的な報告など、確かな出どころをもとに整えており、出典のはっきりしない噂やうわべだけの話題は扱いません。

この活動は「医療行為」ではなく、あくまで地域の健康づくりを応援する取り組みです。特定の商品やサービス、特定のクリニックへ誘導するものでもありません。あなたがふだん通っている場所と、ゆるやかにつながりながら、暮らしの中の健康をいっしょに見守っていく――そんな関係づくりを目指しています。

LINEから健康情報が定期配信される図解
図2:季節の話題や生活のヒントが、読みやすいペースで届きます。

こんな方に

次のように感じたことのある方に、特に役立てていただけると考えています。一つでも当てはまるものがあれば、気軽に受け取ってみてください。

  • 診察のときに聞きそびれたことが、あとから気になることがある方
  • 健康の情報をたくさん見かけるけれど、どれを信じてよいか迷うことがある方
  • 離れて暮らすご家族の健康が気がかりな方、ご本人に役立つ情報を共有したい方
  • スマートフォンは持っているけれど、健康情報の探し方に自信がない方
  • かかりつけの場所とゆるやかにつながっていたい、と感じている方
  • 忙しくてまとまった時間は取れないけれど、すきま時間に少しずつ健康のことを知りたい方
多世代がスマホで健康情報を受け取るイラスト
図3:若い世代から年配の方まで、世代を問わず受け取れます。

なぜ大切なのか

スマートフォンのメッセージを通じた健康情報の発信は、世界中で研究が進められてきました。テキストメッセージによる健康支援を幅広く調べたレビューでは、生活習慣の見直しや受診の継続といったさまざまな場面で、人々の健康にまつわる行動を後押しする可能性が報告されています[1]。手のひらに直接届くという手軽さが、知識と日常のあいだの距離を縮めると考えられています。机に向かってわざわざ調べるのではなく、暮らしの流れの中で自然に情報に触れられること――この「届きやすさ」こそが、メッセージ配信ならではの強みだとされています。

たとえば「受診のし忘れ」をめぐる研究があります。病院の予約に関する研究を集めて分析した報告では、事前にお知らせのメッセージや電話を送ることで、来院されなかった割合が下がる傾向が示されています。この分析では、もともと約23%だった「予約日に来られなかった割合」が、お知らせを送ることで約13%へと低くなったと報告されています[2]。さりげない一通のお知らせが、必要な受診や継続をそっと支えることがあるのです。うっかり忘れてしまいがちな予定を、やさしく思い出させてくれる存在になりえます。

予約お知らせが受診忘れを減らす図解
図4:事前のお知らせが、受診のし忘れをそっと減らすと報告されています。

もう一つ、いま大切さが増しているのが「情報を見極める力」です。テレビやインターネットには健康に関する情報があふれていますが、それらを「うのみ」にしてしまうことは決して少なくない、と公的な情報サイトでも注意が促されています[3]。自分にとって必要な情報を探し、内容を吟味し、納得して選ぶ――こうした力は「ヘルスリテラシー」と呼ばれ、健康とよりよくつき合っていくうえで欠かせないものとされています[3]。日本に住む人のヘルスリテラシーは、ヨーロッパとの比較調査で相対的に高くないと指摘されており、信頼できる出どころの情報にふだんから触れられる環境づくりが課題とされています[4]。かかりつけの診療所・病院から届く情報は、その確かなよりどころの一つになりうると考えています。日ごろから信頼できる便りに触れていれば、いざというときに「どれを信じればいいのか」と立ちすくむことも少なくなるかもしれません。

信頼できる情報を選び取る力を表すイラスト
図5:あふれる情報から、確かなものを選び取る力(ヘルスリテラシー)を支えます。

「スマートフォンは若い人のもの」という時代でもなくなりました。総務省の白書では、高齢の世代でもインターネットの利用が年々広がってきたことが示されています[5]。さらに、操作に不安のある方を対象に学べる機会を用意したところ、デジタルの健康情報を扱う力が高まったという研究も報告されています[6]。受け取り方を少し知るだけで、世代を問わず情報を役立てやすくなる、ということです。最初は不安でも、身近な人の助けを借りながら一歩ずつ慣れていけば、デジタルの便りはきっと心強い味方になってくれます。

当日の流れ・内容

大がかりな準備は要りません。流れはとてもシンプルで、はじめての方でも迷わず始められます。

  • 1. 友だち登録:診療所・病院の窓口や院内の案内にあるQRコードから、LINE公式アカウントを「友だち追加」します。
  • 2. 配信を受け取る:登録後、季節の話題や健康のヒントなどが、無理のないペースで定期的に届きます。
  • 3. 気になるものだけ読む:すべてに目を通す必要はありません。気になった話題だけ、すきま時間にどうぞ。
  • 4. 必要なら相談につなぐ:「これは先生に聞いてみよう」と思ったことは、次の受診のときにお話しいただくのもおすすめです。

配信のテーマは、季節ごとの体調管理、生活習慣をめぐる小さな工夫、受診前に知っておくと安心なこと、地域の健康に関するお知らせなど、暮らしに寄り添った内容を中心に組み立てています。たとえば寒い季節には体を冷やさない過ごし方の話題を、暑い季節には水分とのつき合い方の話題を、というように、その時々の生活で気にかかりやすいことをやさしくお伝えしていきます。専門的な内容も、できるだけ図やたとえを使って、はじめての方にも伝わるように工夫しています。

読んだあとに「もっと知りたい」と思ったときのために、信頼できる出どころへの案内を添えることもあります。けれども、すべてを読み込まなければならないわけではありません。今の自分に必要だと感じた話題だけを受け取り、あとは気楽に流していただいてかまいません。健康の便りとのつき合い方も、どうぞあなたのペースで決めてください。

参加の安心

「メッセージがたくさん来て困るのでは」とご心配な方もいるかもしれませんが、配信は読みやすいペースを心がけています。一日に何通も届いて通知が鳴りやまない、というようなことはありません。読むのも読まないのも自由ですし、合わないと感じたら、いつでも通知をオフにしたり登録を解除したりできます。費用はかからず、お使いのLINEがあればそれだけで参加いただけます。

操作にとまどうときは、窓口のスタッフが登録のお手伝いをします。「QRコードってどうやって読むの」「友だち追加のボタンが見つからない」――そんなときも、その場で一緒に確認しますのでご安心ください。離れて暮らすご家族と一緒に登録される方も歓迎です。届いた話題が、ご家族で健康について話すきっかけになればうれしく思います。なお、配信は一般的な健康の話題をお届けするもので、お一人おひとりの症状の診断や治療を行うものではありません。

参加方法

参加は、かかりつけの診療所・病院でLINE公式アカウントを友だち追加するだけです。受付でこのようにお声がけください。

  • 記入・お声がけ例:「和ごころLINEの健康情報の配信を受け取りたいので、登録の方法を教えてください」
  • ご家族の代理でうかがう場合の例:「離れて暮らす親に役立てたいので、登録のしかたを教えていただけますか」
  • 操作に不安がある場合の例:「スマートフォンの操作に慣れていないので、登録を手伝っていただけますか」

QRコードの読み取りや初回の設定がご不安な場合も、その場でスタッフがご案内しますので、どうぞお気軽にお申し出ください。すぐに決めなくても大丈夫です。「どんな情報が届くのか、まず聞いてみたい」というだけでも、遠慮なくお声がけください。

窓口でQRコードからLINEを友だち登録する図解
図6:窓口のQRコードから、その場でかんたんに友だち登録できます。

さいごに

健康とのつき合いは、特別な日のためのものではなく、毎日の小さな積み重ねの中にあります。手のひらに届く一通のメッセージが、聞きそびれた疑問をやわらげ、確かな情報へとそっと橋をかける。そんな「身近な健康サポーター」として、和ごころLINEはあなたとご家族のそばにいたいと思っています。気が向いたときに、まずは友だち追加から。あなたの暮らしのペースで、ゆっくりご一緒できれば幸いです。

本記事は地域活動の案内であり、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状や強いつらさがある場合は医療機関・公的相談窓口にご相談ください。

参考文献

  1. Hall AK, Cole-Lewis H, Bernhardt JM (2015)「Mobile Text Messaging for Health: A Systematic Review of Reviews」Annual Review of Public Health リンク
    ― 本記事での引用箇所:テキストメッセージによる健康支援が健康行動を後押しする可能性についての記述。
  2. Hasvold PE, Wootton R (2011)「Use of telephone and SMS reminders to improve attendance at hospital appointments: a systematic review」Journal of Telemedicine and Telecare リンク
    ― 本記事での引用箇所:来院されなかった割合が約23%から約13%へ低くなったとの報告。
  3. 厚生労働省eJIM(「統合医療」情報発信サイト)「医療者と患者のコミュニケーション:ヘルスリテラシーを手がかりにして」 リンク
    ― 本記事での引用箇所:情報の「うのみ」への注意喚起、ヘルスリテラシーの重要性についての記述。
  4. 健康を決める力(ヘルスリテラシー情報サイト)「日本人のヘルスリテラシー」 リンク
    ― 本記事での引用箇所:日本に住む人のヘルスリテラシーがヨーロッパとの比較で相対的に高くないとの指摘。
  5. 総務省(2013)「平成25年版 情報通信白書 進む高齢者のICT利活用」 リンク
    ― 本記事での引用箇所:高齢の世代でインターネット利用が年々広がっているとの記述。
  6. De Main AS, Xie B, et al. (2022)「Assessing the Effects of eHealth Tutorials on Older Adults' eHealth Literacy」Journal of Applied Gerontology リンク
    ― 本記事での引用箇所:学ぶ機会を用意することで高齢者のデジタル健康情報を扱う力が高まったとの報告。