「血圧、しばらく測っていないな」「健診はなんとなく後回しにしている」――そんなふうに感じている方は、案外多いのではないでしょうか。毎日の暮らしは忙しく、自分のからだのことは、つい一番うしろまわしになりがちです。けれど、ふだん元気に過ごせているからこそ、自分の「いまの数値」を知る機会は意外と少ないものです。和ごころでは、お住まいの地域で気軽に立ち寄っていただける場として、和ごころ健診(定期的な地域統合スクリーニング)を町内会のみなさんと一緒に開いています。むずかしい手続きはいりません。お買い物や散歩のついでに、ご自分のからだの「いまの様子」をのぞいてみる。そんな小さな一歩を、地域でそっと後押しする活動です。

この活動とは

地域活動センターに集まる全世代の人々
図1:町内会と協力し、地域活動センターで気軽に立ち寄れる場をつくっています

和ごころ健診は、町内会と協力して地域活動センターを会場に、血圧・血糖・コレステロール(いわゆる「三高」)のスクリーニング(簡単な測定)を行い、その場で初期のご相談をお受けする地域活動です。お一人おひとりの数値を一緒に眺めながら、「この数字はどう受けとめたらよいのか」「次にどこへ相談すればよいのか」を、やさしい言葉でお話しします。検査というと身構えてしまう方もいらっしゃいますが、ここでは数字の良し悪しを判定するのではなく、まず「自分の数値に出会う」ことそのものを大切にしています。

大切な前提として、これは医療行為や診断ではなく、地域の健康づくりを応援する案内・きっかけづくりの場です。気になる数値があった方には、かかりつけ医や医療機関への相談をおすすめする、いわば「最初の入り口」とお考えください。和ごころ健診は、特定の病院やお店をおすすめする場ではなく、地域に暮らすみなさんが、気がねなく健康の話をできる「ふだんの場所」でありたいと願っています。

三高を一緒に見つめる

血圧・血糖・コレステロールの三つの目安
図2:血圧・血糖・コレステロールの「三高」をまとめてやさしく見つめます

「三高」とは、血圧・血糖・コレステロールの値が高めの状態をまとめた呼び方です。それぞれは別々の数値ですが、いずれも生活習慣と深く関わり、からだの中で少しずつ変化が積み重なっていくという共通点があります。和ごころ健診では、この三つをまとめて一度に確かめられるようにしています。あちこちで別々に測るのは大変ですが、一か所でまとめて眺めることで、自分のからだの全体像をつかみやすくなります。

数値はあくまで「目安」であり、その日の体調や測り方によっても変わります。大切なのは、一回の数字に一喜一憂することよりも、「自分はこのあたりの値なのだ」というおおよその感覚を持っておくことです。その感覚があると、次に医療機関で測ったときにも、変化に気づきやすくなります。また、ご家族で参加された方どうしで数値を見せ合い、「うちの食事はどうかしら」と暮らしをふり返るきっかけにもなります。三高はひとりだけの問題ではなく、ふだんの食事や運動、休息といった、家族や地域で共有している生活の積み重ねとつながっているからです。

なぜ大切なのか

症状が出ないまま静かに進む様子のイメージ
図3:高めの数値は初期に自覚症状が出にくいことが知られています

血圧や血糖、コレステロールが高めの状態は、初期にはほとんど自覚症状が現れないことが知られています。政府広報オンラインでも、生活習慣病は初期には自覚症状がないことが多く、いつの間にか進行してしまう危険があるため、定期的に健診を受けて健康状態を把握することが早期の発見につながる、と案内されています[3]。高血圧についても、症状が現れないまま、からだの中では血管への影響が静かに広がっていくと説明されており[4]、こうした特徴から「サイレント(静かな)」状態とも語られます。痛みやつらさという「わかりやすい合図」が出にくいからこそ、自分から数値を確かめにいくことに意味があるのです。

高血圧に気づいていない人の割合のイメージ
図4:世界では高血圧をもつ成人の約44%が自覚していないと報告されています

では、実際に「気づいていない人」はどれくらいいるのでしょうか。世界保健機関(WHO)は、世界で高血圧をもつ成人のうち、推計約6億人(44%)が自分の高血圧に気づいていないと報告しています[2]。これは決して遠い国の話ではありません。日本国内でも、厚生労働省の令和6年「国民健康・栄養調査」では、「糖尿病が強く疑われる者」は約1,100万人と推計されており、平成9年以降増加していると報告されています[1]。さらに、糖尿病を指摘されたことがある人のうち現在治療を受けている割合は67.4%と報告されており[1]、裏を返せば、指摘を受けても治療につながっていない方が一定数いることがうかがえます。

血圧やコレステロールについても、同じ調査で数値の分布が示されています。20歳以上の収縮期(最高)血圧の平均値は126.4 mmHg、40歳以上では129.3 mmHgと報告されており[1]、年代が上がるほど高くなる傾向が示されています。また、血清LDLコレステロール値が160 mg/dL以上の人の割合は8.1%と報告されています[1]。こうした数字は、地域のなかに高めの値の方が少なからずいらっしゃることを示しています。決して「特別な誰か」の話ではなく、ご近所のどなたにもあてはまりうる、ごく身近なことなのです。

高血圧は、放置していると血管の壁に強い圧力がかかり続け、動脈硬化が進みやすくなることが指摘されています。その影響は脳・腎臓・目・心臓など全身に及ぶと説明されています[4]。だからこそ、まずは自分の数値を「知る」こと、そして必要に応じて医療につながることが、地域の健康を守るうえで重要だと考えられています[3]。和ごころ健診は、その「知る」きっかけを、身近な場所でつくるための活動です。

当日の流れ

受付から測定、相談までの一日の流れ
図5:受付・血圧測定・簡易測定・初期相談まで、ゆっくりご案内します
  • 受付:地域活動センターの入口でお名前をお伝えください。予約がなくても、その場で参加いただけます。
  • 血圧の測定:座って少し休んでから、自動血圧計でゆったり測ります。緊張すると数値が上がりやすいため、ひと息ついてからはかります。
  • 血糖・コレステロールの簡易測定:指先などからのごく少量で、その場で目安の数値を確認します。
  • その場での初期相談:数値の見方や、次に相談するとよい窓口について、スタッフがやさしくお話しします。わからないことは、どんな小さなことでもお尋ねください。
  • お見送り:気になる結果があった方には、かかりつけ医や医療機関への相談を、無理のない形でおすすめします。

所要時間はおおむね15〜20分ほどです。順番にゆっくりご案内しますので、急かされる心配はありません。お子さま連れの方も、ご高齢の方も、それぞれのペースで過ごしていただけます。

参加の安心と、医療へのやさしい橋わたし

地域の人から医療機関へつなぐ橋のイメージ
図6:気になる数値があれば、医療機関への相談へやさしくおつなぎします

はじめての方でも安心して立ち寄っていただけるよう、いくつかの心づもりをお伝えします。

  • 測定結果はその場限りのものとして扱い、ご本人の同意なく外部に伝えることはありません。
  • 無理な勧誘や、特定の商品・サービスのおすすめはいたしません。
  • 数値はあくまで「目安」です。確定的な診断ではないため、気になる場合は医療機関での確認をおすすめします。
  • 体調がすぐれないときは、どうぞご無理をなさらないでください。スタッフにお声がけいただければ、休める場所をご案内します。

和ごころ健診がいちばん大切にしているのは、この「橋わたし」の役割です。数値を知って終わり、ではなく、必要な方が安心して次の一歩――かかりつけ医や地域の相談窓口――へ進めるよう、そっと背中を押すことを心がけています。早めに気づいて医療につながることが、その後のからだを守るうえで大切だとされています[3]。ひとりで抱え込まず、まずは数字を「だれかと一緒に」見てみる。それだけでも、ずいぶん気持ちが軽くなるものです。

参加方法

予約は不要です。開催日に、直接、地域活動センターまでお越しください。事前にお知りになりたい方は、町内会の掲示板や回覧でお知らせする受付用紙に、下記のようにご記入のうえお持ちいただくと、当日の受付がよりスムーズです。

  • お名前:和ごころ 花子
  • お住まいの地区:みなみ町〇丁目
  • 当日測りたい項目:血圧/血糖/コレステロール(気になるものに丸)
  • ひとこと:最近、健診を受けていないので数値を知りたい

もちろん、用紙がなくても当日その場でご記入いただけます。お一人でも、ご家族やご近所の方とご一緒でも、どうぞお気軽に。「自分はまだ大丈夫」と思っている方こそ、ぜひ一度、数値を確かめにいらしてください。

やさしい締めくくり

自分のからだの数字を知ることは、自分や大切な人を思いやる、ささやかで確かな一歩です。和ごころ健診は、その一歩をひとりにしないための、地域のあたたかな場でありたいと願っています。数字に正解や不正解はありません。今日の自分を知り、必要なら明日へつなぐ。そのお手伝いができればと思っています。健康は、特別な日にだけ気をつけるものではなく、ご近所であいさつを交わすような、ふだんの暮らしのなかにこそ根づくものだと、わたしたちは考えています。だからこそ、ひとりで頑張りすぎず、地域のみんなでゆるやかに支え合える場をこれからも続けていきたいと思います。次の開催日、ちょっとだけ足を運んでみませんか。お茶でも飲むような気持ちで、どうぞお気軽に。お待ちしています。

本記事は地域活動の案内であり、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状や強いつらさがある場合は医療機関・公的相談窓口にご相談ください。測定値は健康状態の目安としてご参照ください。本記事および和ごころ健診は、特定の効果・結果を保証するものではありません。

参考文献

  1. 厚生労働省(2025)「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001603146.pdf
    ― 本記事での引用箇所:「糖尿病が強く疑われる者」が約1,100万人と推計され平成9年以降増加していること、糖尿病を指摘された人の治療率67.4%、20歳以上の収縮期血圧平均126.4 mmHg(40歳以上129.3 mmHg)、LDLコレステロール160 mg/dL以上が8.1%という数値。
  2. World Health Organization(2023)「Hypertension(fact sheet)」WHO https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hypertension
    ― 本記事での引用箇所:高血圧をもつ成人のうち推計約6億人(44%)が自分の高血圧に気づいていない、という報告。
  3. 政府広報オンライン(2014)「生活習慣病とは?予防と早期発見のために定期的な受診を!」内閣府大臣官房政府広報室 https://www.gov-online.go.jp/article/201402/entry-10419.html
    ― 本記事での引用箇所:初期の生活習慣病は自覚症状がないことが多く進行の危険があるため、定期的な健診で健康状態を把握することが早期発見・治療に重要であるという説明。
  4. 日本生活習慣病予防協会(一般社団法人)「高血圧」 https://seikatsusyukanbyo.com/guide/hypertension.php
    ― 本記事での引用箇所:高血圧は通常はっきりした症状が現れないまま、からだの中で動脈硬化などの影響が広がり、脳・腎臓・目・心臓など全身に及ぶという説明。
  5. 厚生労働省「国民健康・栄養調査」(調査の概要・各年結果一覧) https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html
    ― 本記事での引用箇所:本調査が健康増進法に基づき国民の身体状況・生活習慣を継続的に把握する全国的な公的調査であるという出典の裏づけ。