スマートフォンやパソコン、タブレットなどの画面が発する青色光は、日中に浴びると覚醒維持に役立ちます。しかし夜間にこれを浴びると、体内時計が「まだ昼だ」と誤認してメラトニンの分泌を抑制する可能性が指摘されています。若年成人を対象とした系統的レビュー(Silvani et al., 2022)では、夜間の青色光曝露が概日リズムと睡眠に影響を与えることが報告されており、特に就寝前の画面使用時間を減らすことの重要性が示されています[5]。
カフェインの持続時間
コーヒーや緑茶に含まれるカフェインは、眠気を促すアデノシンという物質の受容体を一時的にブロックすることで覚醒を維持します。ポイントは半減期(体内で半分に減るまでの時間)で、個人差はあるものの約5〜6時間とされています。Drake et al.(2013)のランダム化比較試験では、就寝6時間前にカフェイン400mgを摂取しても、睡眠の乱れが客観的・主観的に有意に認められたことが示されています[4]。午後2〜3時以降のコーヒー・エナジードリンクの摂取が、夜の眠りに影響している可能性があります。
入浴(シャワー含む)には、体の中心温度をいったん上げた後に下げるという体温調節を介して、入眠を促す可能性が報告されています。Haghayegh et al.(2019)の系統的レビューとメタアナリシスでは、就寝1〜2時間前に40〜42.5℃のお湯に10分以上つかることで、入眠潜時の短縮と睡眠効率の向上が示されています[3]。シャワーだけでも同様の効果が報告されており、取り組みやすい方法の一つです。
Trauer et al.(2015)が行った系統的レビューとメタアナリシス(20研究・1,162人)では、CBT-Iによって入眠までの時間(SOL)が平均19分短縮し、夜間覚醒時間(WASO)が平均26分減少し、睡眠効率が平均9.91ポイント向上したことが報告されています[2]。また、効果は治療終了後も持続しやすいとされており、現在では睡眠薬と同等かそれ以上に評価される場面もあります。
Trauer JM, Qian MY, Doyle JS, Rajaratnam SM, Cunnington D(2015)「Cognitive Behavioral Therapy for Chronic Insomnia: A Systematic Review and Meta-analysis」Ann Intern Med. 163(3):191-204. PubMed ― 本記事での引用箇所:CBT-IによるSOL平均19分短縮・WASO平均26分減少・睡眠効率9.91ポイント向上のデータ
Haghayegh S, Khoshnevis S, Smolensky MH, Diller KR, Castriotta RJ(2019)「Before-bedtime passive body heating by warm shower or bath to improve sleep: A systematic review and meta-analysis」Sleep Med Rev. 46:124-135. PubMed ― 本記事での引用箇所:就寝1〜2時間前の40〜42.5℃温浴が入眠潜時短縮・睡眠効率向上に関連するというデータ
Drake C, Roehrs T, Shambroom J, Roth T(2013)「Caffeine effects on sleep taken 0, 3, or 6 hours before going to bed」J Clin Sleep Med. 9(11):1195-200. PubMed ― 本記事での引用箇所:就寝6時間前のカフェイン摂取でも睡眠障害が有意に生じるという結果(就寝6時間前以降のカフェイン摂取控えの根拠)
Silvani MI, Werder R, Perret C(2022)「The influence of blue light on sleep, performance and wellbeing in young adults: A systematic review」Front Physiol. 13:943108. PMC ― 本記事での引用箇所:夜間の青色光曝露が概日リズムと睡眠に影響を与えるという系統的レビューの知見