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水虫(足白癬)の種類・感染のしくみと夏の予防・セルフケア

編集:和ごころプロジェクト|公開 2026.07.05最終更新 2026.07.04編集方針

夏になると「足の指の間がじくじくする」「足の裏に小さな水ぶくれができた」といった悩みが増えます。水虫(足白癬)は、白癬菌と呼ばれる皮膚糸状菌が足の皮膚に感染して起こる疾患で、日本では成人の約5人に1人が罹患しているとされています[1]。高温多湿な夏は菌が繁殖しやすく、症状が出やすい季節です。この記事では、足白癬の種類・感染のしくみ・家庭内での予防・セルフケアの基本を、根拠をもとに整理します。

水虫(足白癬)の種類と夏に悪化しやすい理由

足白癬は臨床的に3つの型に分かれます。それぞれの特徴を知ることが、適切な対応の出発点になります。

  • 趾間型(しかんがた):足の指と指の間が白くふやけ、皮がむけたり亀裂ができたりするタイプ。最もよく見られる型です。高温多湿で蒸れやすい夏に症状が目立ちやすく、涼しい季節になると落ち着くことがあります。
  • 小水疱型(しょうすいほうがた):足の土踏まずや縁に小さな水ぶくれが集まってできるタイプ。かゆみを伴うことが多く、水ぶくれが破れた後に皮がむける場合もあります。
  • 角質増殖型(かくしつぞうしょくがた):かかとや足底の皮膚が厚く硬くなり、がさがさと乾燥したように見えるタイプ。かゆみが少なく、水虫と気づかれにくい型です。両足に広がることが多く、治療期間も長めになります。

白癬菌は、温度25〜30℃・湿度70〜80%前後の環境でとくに増殖しやすいとされています。夏の靴の中はこの条件を満たしやすく、趾間型と小水疱型は夏季に悪化しやすいことが知られています[2]。なお、「水虫はかゆい」というイメージが広くありますが、かゆみを訴えるのは患者の約10%程度にとどまるとする報告もあり[2]、かゆみのないまま感染が進行しているケースも少なくありません。

足白癬3つの型(趾間型・小水疱型・角質増殖型)の図解
図1:足白癬の3つの型。左から趾間型・小水疱型・角質増殖型のイメージ図。

白癬菌の感染メカニズムと夏に注意すべき場所

白癬菌(Trichophyton rubrum、T. interdigitaleなど)は、感染者の皮膚から剥がれ落ちる角層(鱗屑)とともに環境に散布されます。この菌は種類や湿度などの環境条件によっては半年以上生存できるとされており[2]、床や共用品に付着したまま感染源になり得ます。

感染が成立するには、菌が皮膚に付着してから一定時間が必要です。健常な皮膚の場合、約12〜24時間かかるとされており[2]、傷や湿疹がある皮膚では感染が成立しやすくなります。この「感染成立までのタイムラグ」が、入浴後すぐに足を洗う・拭くというセルフケアの根拠になっています。

感染リスクが高い場所として以下が挙げられます。

  • 家庭内のバスマット・足拭きマット・スリッパ(家族間での共用)
  • 銭湯・温泉・プール・フィットネスジムのシャワールーム・脱衣所の床
  • 同じ家に足白癬の方がいる場合は、床の素足での歩行も感染経路になり得ます

プールや銭湯での感染については、日本で1990年代に水泳施設での集団感染事例が報告されており[2]、脱衣所や床の汚染が主な感染経路と考えられています。こうした共有空間の利用後は、帰宅後に足を洗う習慣が感染予防につながるとされています。

一方、感染者の靴下や靴も汚染源となるため、靴の通気管理も予防の観点で重要とされています[5]。靴は内部の湿気がこもりやすく、白癬菌が生き残りやすい環境になりやすいため、毎日同じ靴を履き続けることは再発の一因になり得ます。

足白癬と糖尿病・爪白癬の関係(リスク因子の整理)

足白癬の発症に関わるリスク因子を大規模データベースで調べた日本の研究(Ogawa et al., 2024)によると、加齢・男性・糖尿病・下肢虚血が独立した危険因子として挙げられています[3]

  • 糖尿病患者における足白癬リスクのオッズ比は2.611(95%CI: 1.940–3.513)[3]
  • 下肢虚血のある患者のオッズ比は2.265(95%CI: 1.571–3.263)[3]
  • 爪白癬(爪水虫)については、さらに糖尿病性末梢神経障害が追加リスク因子として関連(OR: 2.662)[3]

糖尿病のある方は免疫機能の低下・神経障害・血流障害などにより感染が広がりやすく、また気づきにくい場合もあります。足白癬を放置すると爪白癬に進行することがあり、爪白癬は外用抗真菌薬だけでは届きにくく、内服薬が必要になる場合があります。こうした進行を防ぐためにも、早めに皮膚科を受診することが勧められます。

足白癬の感染リスク因子と菌の定着メカニズムの模式図
図2:Ogawa et al.(2024)[3]の知見をもとに作図。加齢・男性・糖尿病・下肢虚血が独立したリスク因子として報告されています。

抗真菌薬の使い方と「症状が消えても続ける」理由

足白癬の治療の基本は抗真菌外用薬(塗り薬)です。日本皮膚科学会「皮膚真菌症診療ガイドライン2019」では、足白癬に対する抗真菌外用薬の使用を推奨し、塗布期間の目安として以下が示されています[1]

  • 趾間型:2か月以上
  • 小水疱型:3か月以上
  • 角質増殖型:6か月以上

症状(かゆみ・皮むけ・水ぶくれ)が消えた後も、皮膚の角層に白癬菌が残っている場合があります。そのため、症状消失後も一定期間、塗り続けることが推奨されています。外用薬を途中でやめることが再発の大きな原因の一つとされています[4]

市販の抗真菌外用薬も同じ有効成分を含むものがあります。ただし、「水虫に見える」症状の中には、湿疹・掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)・汗疱(かんぽう)など白癬菌とは無関係の皮膚疾患も含まれます。市販薬を使っても改善しない場合や確信が持てない場合は、顕微鏡での直接鏡検(皮膚科での検査)で診断を確認することを検討してください。

外用薬を使用する際のポイントとして、症状のある部位だけでなく、その周辺にも薬を広めに塗ることが推奨されています。白癬菌は症状の出ていない皮膚にも潜在していることがあるためです。塗り残しのないよう、足全体に薄く広げる意識が大切です。1日1回の塗布でも十分な場合が多いとされていますが、製品によって使い方が異なるため、添付文書の指示に従ってください。

なお、角質増殖型や爪白癬を合併している場合は、外用薬だけでは届きにくいため、内服抗真菌薬が第一選択とされています[1]。内服薬は医療機関での処方が必要です。内服治療の期間は薬剤によって異なりますが、数か月にわたることが一般的です。自己判断での中断は再発リスクを高める可能性があるため、処方医の指示に従って継続することが大切です。

夏の家庭内感染を防ぐ具体的なセルフケア

家庭内での感染予防は、環境中に散布された菌を素足が踏まないこと・皮膚に付着しても洗い流すことの2点が中心になります。感染成立まで12〜24時間かかるとされることから、帰宅後や入浴後に足を洗う習慣が予防の基盤となります。

  • 足を丁寧に洗う:指の間を含め、石けんで泡立てて洗う。ゴシゴシこすらず、泡で包むように洗うと皮膚を傷つけにくい。
  • しっかり乾かす:洗後は指の間まで丁寧に乾かす。水分が残ると菌が定着しやすくなるため。ドライヤーの弱風を使うのも一つの方法です。
  • バスマット・足拭きマットの専用化:家庭内に足白癬の方がいる場合は、バスマットや足拭きタオルを分けることが感染拡大を防ぐうえで有効とされています。定期的な洗濯もあわせて行ってください。
  • スリッパの共用を避ける:感染者の使用したスリッパには菌が付着している可能性があります。
  • 靴の管理:同じ靴を毎日連続して履かず、乾燥させる日を設ける。通気性のよい素材の靴や靴下(綿など天然繊維)を選ぶと足内の湿度を下げやすいとされています[4]。靴内の汚染が再発の原因になることがあるため、靴の衛生管理も考慮する必要があります[5]
  • 公共施設での注意:プール・銭湯・ジムなどの利用後は、帰宅後に足を洗う。施設によっては足洗い場の活用も有効です。

なお、爪白癬がある場合は足のセルフケアと並行して爪の治療も必要になります。爪は角層が厚く外用薬が浸透しにくいため、内服薬による治療が一般的に検討されます。足白癬を長期間放置すると爪に感染が及ぶことがあり、爪白癬になると爪の色が白や黄色に変わり、厚みや変形が生じることがあります。爪白癬は見た目の問題だけでなく、爪が再感染の温床になることもあるため、足白癬の治療と並行して皮膚科に相談することが望ましいとされています。

また、夏場に靴下を選ぶ際は、合成繊維より綿・絹などの天然素材の方が足の湿気を吸収しやすく、蒸れを抑えやすいとされています[4]。5本指ソックスは趾間の通気を保ちやすい構造となっており、趾間型の予防に適しているとする意見もあります。ただし、こうした靴下の効果については科学的な検証が限られており、あくまで補助的な対策として位置づけてください。

受診を検討したいサイン

  • 市販の抗真菌外用薬を1か月以上使用しても症状が変わらない、または悪化している
  • 爪が白く濁ったり、厚くなったり、もろく崩れたりしている(爪白癬の疑い)
  • 糖尿病や血行障害があり、足の状態が気になる
  • 足の皮膚に亀裂・傷があり、赤みや腫れを伴っている(二次感染の可能性)
  • 角質がひどく増殖し、日常生活に支障がある
  • 水虫に似た症状(水ぶくれ・皮むけ)があるが、以前の治療で改善しなかった(他の皮膚疾患の可能性)
  • 両足・爪・手に広がっていると感じる

皮膚科では、皮膚の一部を採取して顕微鏡で白癬菌の有無を確認する「直接鏡検」で診断を確定します。見た目だけでは判断が難しい場合も多いため、気になる症状が続く場合は皮膚科への相談を検討してください。

足のセルフケア3ステップ(洗う・乾かす・通気する)と受診を検討したい症状の整理図
図3:足白癬のセルフケア手順(洗浄・乾燥・通気)と受診を検討したい症状の目安。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会(2019)「皮膚真菌症診療ガイドライン2019」日本皮膚科学会雑誌. Mindsガイドラインライブラリ
    ― 本記事での引用箇所:足白癬の外用療法期間の推奨(趾間型2か月以上、小水疱型3か月以上、角化型6か月以上)、角化型・爪白癬合併例における内服薬の推奨、日本での罹患率約14%
  2. Leung AK, Barankin B, Lam JM, Leong KF, Hon KL(2023)「Tinea pedis: an updated review」Drugs Context. 12:2023-5-1. PubMed: 37415917
    ― 本記事での引用箇所:主要原因菌(T. rubrum・T. interdigitale)、夏季悪化の季節性、かゆみが約10%のみという記述、感染成立まで12〜24時間、白癬菌の環境中生存に関する情報
  3. Ogawa T, et al.(2024)「Risk factors for the development of tinea pedis and onychomycosis: Real-world evidence from a single-podiatry center, large-scale database in Japan」J Dermatol. 51:30–39. PubMed: 37904622
    ― 本記事での引用箇所:加齢・男性・糖尿病(OR 2.611)・下肢虚血(OR 2.265)が独立した危険因子、爪白癬への糖尿病性末梢神経障害の追加リスク(OR 2.662)
  4. Ward H, Parkes N, Smith C, Kluzek S, Pearson R(2022)「Consensus for the Treatment of Tinea Pedis: A Systematic Review of Randomised Controlled Trials」J Fungi (Basel). 8(4):351. PMC9027577
    ― 本記事での引用箇所:治療中断が再発の主な原因であること、通気性のよい素材の靴・靴下の推奨、外用薬の有効性に関するデータ
  5. Gupta AK, Taylor D, Wang T, Cooper EA, Saunte DML(2025)「Hygiene Practices Against Dermatophytic Fungi: A Review of Strategies to Combat Antifungal Resistance」Biology (Basel). 14(8):1016. PubMed: 40906175
    ― 本記事での引用箇所:靴・繊維・フットケア器具の汚染が再発原因として認識されにくいこと、環境衛生管理の重要性

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療に代わるものではありません。症状が続く・悪化する場合や、糖尿病などの基礎疾患がある場合は、医療機関(皮膚科)にご相談ください。市販薬の使用についても、添付文書をよく読み、不明な点は薬剤師にご相談ください。

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