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目の疲れ・目の奥が痛い・しょぼしょぼする(眼精疲労)――スマホ・PCによる目の酷使とセルフケアの考え方

編集:和ごころプロジェクト|公開 2026.06.29最終更新 2026.06.28編集方針

スマートフォンやパソコン画面を長時間見続けた後、目の奥がズーンと重く感じたり、しょぼしょぼして焦点が合いにくくなったりした経験はないでしょうか。こうした「目の疲れ」は誰もが経験しますが、休んでも回復しない状態が続くとき、それは眼精疲労と呼ばれる慢性的な状態に移行している可能性があります。日本眼科学会の定義によれば、眼精疲労とは「視作業を続けることにより、眼痛・眼のかすみ・まぶしさ・充血などの目の症状や、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状が現れ、休息や睡眠をとっても十分に回復しえない状態」を指します。

目の疲れ・眼精疲労とはどういう状態か

一時的な「目の疲れ」と「眼精疲労」は異なります。目の疲れは、適度な休憩を取れば多くの場合に回復します。一方、眼精疲労は疲労が慢性化しており、一晩休んだだけでは回復しきれない状態です。

眼精疲労の特徴的な症状は、目そのものの症状だけでなく、全身症状を伴う点にあります。

  • 目の症状:目の奥の痛みや重だるさ、かすみ、充血、乾燥感、まぶしさ
  • 頭部・頚部の症状:こめかみや後頭部の頭痛、首こり
  • 全身症状:肩こり、倦怠感、吐き気、集中力の低下、睡眠の質の悪化

2023年に発表されたシステマティックレビューとメタ解析(103研究・66,577人)によると、デジタル機器を使用する人のコンピュータビジョン症候群(CVS)の有病率はおよそ69.0%(95%CI: 62.2〜75.4%)と報告されています[1]。大学生では76.1%と特に高く、デジタル機器を日常的に使う現代では非常に多くの人が何らかの目の不調を抱えていると考えられます。

眼精疲労の症状分類図:目の症状と全身症状の関係
図1:眼精疲労が起こる目の症状と全身症状の概要。スマホ・PC使用時間が増えるにつれ、目以外の不調も出やすくなると報告されています[1]

なぜ画面を見ると目が疲れるのか――毛様体筋とピント調節の仕組み

目の奥の痛みや重だるさが生じる主要なメカニズムのひとつが、毛様体筋の疲労です。毛様体筋とは、目の中で水晶体(レンズ)の厚みを変化させ、ピントを合わせる役割を担う筋肉です。近くを見るときに収縮し、遠くを見るときに弛緩します。

スマートフォンやパソコンを見る際、目は常に近距離にピントを合わせ続けるため、毛様体筋が長時間収縮しっぱなしになります。これがいわば「小さな筋肉を長時間緊張させ続けている状態」であり、筋疲労が蓄積します。

毛様体筋は内臓と同じ平滑筋の一種で、自律神経(副交感神経)に支配されています。近くを見る行為では副交感神経が毛様体筋を収縮させますが、スマホ・PCに集中しているとき身体全体は軽い交感神経優位の状態にあります。この「目には副交感神経の指令、身体には交感神経の指令」という矛盾した状態が続くと、脳や自律神経への負担も高まると考えられています[2]

また、集中して画面を見ているときはまばたきの回数が通常の約1/3〜1/5に減少すると報告されており[2]、涙の分泌が不十分になって目の表面が乾燥しやすくなります(ドライアイ)。乾いた目はさらに目の疲れを増幅させます。

毛様体筋のピント調節の仕組みを示す図解
図2:Kaur et al.(2022)の総説をもとに作図。近距離を見続けると毛様体筋が収縮し続け、自律神経の矛盾した指令と相まって疲労が蓄積されると考えられています[2]

肩こり・頭痛・自律神経との深いつながり

眼精疲労が「目だけの問題ではない」とされるのは、症状が全身に広がりやすいためです。

肩こり・首こりとの関係については、コンピュータ使用時の不良姿勢(首を前に突き出す姿勢など)による頸部・肩甲帯の筋肉の持続的な緊張が挙げられます。2014年のインドでの大規模調査では、コンピュータを使用する大学生の約61%が首・肩の痛みを訴えたと報告されています[3]。さらに、目の疲労が続くと無意識に顔を画面に近づける姿勢になりやすく、これが首・肩への負担を一層増やす悪循環につながります。

内部リンクとして、肩こりのメカニズムについては肩こり・首こりの向き合い方の記事も参考になります。

頭痛との関係については、毛様体筋の過緊張が眼窩(目のまわり)の痛みや圧迫感として感じられることがあり、また目の周囲から頭部へと放散する筋緊張性の頭痛につながりやすいとされています。頭痛についての詳しい解説は毎日続く頭痛の原因も参考にしてください。

自律神経との関係については、長時間の画面作業が交感神経と副交感神経の切り替えを難しくし、リラックス状態に入りにくくなることが知られています。これが睡眠の質の低下やイライラ感、集中力の低下につながりうると考えられています[2]

眼精疲労から肩こり・頭痛・自律神経の乱れへの関連を示す図
図3:目の過使用が肩こり・頭痛・自律神経の乱れへとつながる多面的な影響の関連図。

日常生活でできるセルフケアの考え方

眼精疲労のセルフケアで特に証拠として広く知られているのが、20-20-20ルールです。これは「20分に1度、20フィート(約6メートル)先の景色を20秒間眺める」という休憩方法で、毛様体筋を緩める効果があるとされ、デジタルアイストレインの総説でも言及されています[2]。ただし、短期間での回復を保証するものではなく、習慣的に継続することが大切です。

以下に、日常の中で取り入れやすいセルフケアの考え方をまとめます。

  • 目を温める(温罨法):市販のホットアイマスクや温かいタオルをまぶたに当てる方法です。目のまわりの血流を促し、筋緊張をほぐす助けになると考えられています[4]
  • 意識的にまばたきをする:集中して画面を見るとまばたきが極端に減ります。ときどき意識的にまばたきをすることで、目の乾燥を和らげることが期待されます。
  • 画面との適切な距離・角度:モニターは目の高さより少し下(10〜20度程度見下ろす角度)に設置し、目から50〜70cm程度の距離を保つことが推奨されています[2]
  • 室内の明るさと画面輝度の調整:周囲の明るさと画面の明るさの差が大きいほど、目への負担が増します。室内照明とモニターの輝度のバランスを取るよう心がけましょう。
  • 適切な度数の眼鏡・コンタクトを使う:度数が合っていない眼鏡やコンタクトは、目のピント調節に余分な負担をかけます。定期的に眼科で度数を確認することが大切です。

なお、目の症状が続く場合には、ドライアイや調節機能の問題(調節緊張・調節けいれん)が背景にあることもあります。セルフケアで対処しながら、長期化する場合は眼科への相談を検討してください。

20-20-20ルールや温罨法などのセルフケアの方法を示す図解
図4:眼精疲労のセルフケアの考え方。20-20-20ルールと目を温める習慣が、毛様体筋の疲労を和らげる一助となると考えられています。

環境調整――デバイスと作業環境を見直す視点

個人のセルフケアと並んで重要なのが、作業環境の調整です。目の疲れは使い方だけでなく、使う環境にも大きく左右されます。

画面の大きさと使用距離:小さなスマートフォンの画面は近づいて見る必要があるため、毛様体筋への負担が大きくなります。可能であれば、より大きなモニターを使うことで、目から遠い距離を保ちやすくなります。

ブルーライトと照明:スマートフォンやパソコンのディスプレイから放出されるブルーライトは、夜間に浴びることで体内時計(概日リズム)に影響を与え、睡眠の質を低下させうると考えられています。夜間の使用時は輝度を下げるか、ブルーライトカットモードを活用することが一般的に勧められています。ただし、ブルーライトが眼精疲労の直接原因となる証拠については、現時点で強いエビデンスがあるわけではなく、研究が継続中です[2]

作業姿勢と頸部の負担:画面を見るときに頭を前に傾けた姿勢が続くと、首・肩の筋肉への負担が大きくなります。背もたれを使い、頭が肩の真上に来るような姿勢を意識すると、首・肩への負担を軽減しやすいと考えられています。

室内の湿度管理:エアコンを多用する季節は室内が乾燥しやすくなります。加湿器を使うなどして湿度を40〜60%程度に保つことが、目の乾燥予防の観点から有効と考えられています。

デジタルデバイス使用時の適切な作業環境・姿勢の図解
図5:作業環境の整え方の概念図。画面の距離・角度・室内の明るさ・湿度など複合的な要因を整えることで、目への負担を軽減できると考えられています。

受診を検討したいサイン

日常的な目の疲れは多くの場合にセルフケアで対応できますが、以下のような症状があるときは、眼科への受診を検討してください。セルフケアや生活習慣の見直しで改善が得られない場合、背景に治療が必要な眼疾患や調節機能の問題が隠れていることがあります。

  • 十分な休息を取っても目の奥の痛みや重だるさが数日以上続く
  • 視力が以前より著しく低下したように感じる、または急にかすむことが繰り返す
  • 光が特にまぶしく感じる(羞明)、または片目だけ症状が強い
  • 目の奥の痛みに加え、吐き気・嘔吐・激しい頭痛が同時に起きる
  • 二重に見える(複視)ことがある
  • 眼鏡やコンタクトの度数が急に合わなくなったように感じる
  • セルフケアを2週間以上続けても症状が改善しない、または悪化する

特に「目の奥の痛み+吐き気+充血」が急激に起きた場合は、緑内障の急性発作など緊急性が高い場合があります。速やかに眼科を受診してください。

眼科受診を検討すべき症状のレッドフラッグ一覧図
図6:眼科受診を急ぐ目安となる症状。目の奥の痛みと急激な充血・吐き気が同時に起きた場合は速やかな受診が勧められます。

参考文献

  1. Seguí-Crespo M et al. (2023)「Prevalence of computer vision syndrome: A systematic review and meta-analysis」Journal of Optometry. PMC10785422
    ― 本記事での引用箇所:「CVS有病率は69.0%(95%CI: 62.2〜75.4%)、大学生では76.1%」の根拠
  2. Kaur K, Gurnani B et al. (2022)「Digital Eye Strain: A Comprehensive Review」Ophthalmology and Therapy. PMC9434525
    ― 本記事での引用箇所:まばたきの減少、毛様体筋と自律神経のメカニズム、20-20-20ルール、画面との距離・角度の推奨、ブルーライトのエビデンスに関する根拠
  3. Logaraj M, Madhupriya V, Hegde SK (2014)「Computer Vision Syndrome and Associated Factors Among Medical and Engineering Students in Chennai」Annals of Medical and Health Sciences Research. PMC3991936
    ― 本記事での引用箇所:「コンピュータ使用者の約61%に首・肩の痛みが報告された」の根拠
  4. Lee G (2024)「Evidence-Based Strategies for Warm Compress Therapy in Meibomian Gland Dysfunction」Ophthalmology and Therapy. PMC11341798
    ― 本記事での引用箇所:目を温める(温罨法)が涙腺・眼周囲の血流に与える影響に関する参考資料

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療に代わるものではありません。症状が続く・悪化する場合や、急激な目の痛み・吐き気・充血などが現れた場合は、速やかに医療機関にご相談ください。

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