医療費・支援制度

高額医療・高額介護合算療養費制度を徹底解説【2026年版】

1年間の医療保険と介護保険の自己負担を合算し、上限を超えた分が払い戻される制度。医療と介護の両方を使う世帯の負担軽減。

医療と介護、両方かかったら知っておきたい制度

佐藤
室谷さん、うちの親が最近入院したんですけど、介護保険も使ってるんですよね。聞いたら「合算療養費が使えるかも」って言われたんですが、これって何ですか?
室谷
ほんとに大事な制度なんですよ、それ。「高額医療・高額介護合算療養費制度」といって、1年間の医療費と介護費の自己負担を合計して、一定の上限額を超えた分を払い戻してもらえる制度です。医療だけでも介護だけでも使える制度はあるんですが、両方かかる世帯向けに「合算してさらに限度額を下げる」仕組みが別にあるんです。
佐藤
えっ、高額療養費ってよく聞くけど、それとは別物なんですか?
室谷
別物というか、セットで考えると理解しやすいです。高額療養費制度は月単位で医療費の自己負担に上限を設ける制度で、この合算制度は年単位(毎年8月1日〜翌年7月31日の12か月)で医療と介護を合わせて上限を設ける制度です。両方使うとダブルで守ってくれるイメージです。
佐藤
なるほど!じゃあ月の上限が高額療養費で、年の合算上限がこの制度ってことですね。具体的にどのくらい戻ってくるんですか?

高額医療・高額介護合算療養費制度の仕組み(医療+介護の二重セーフティネット)

室谷
上限額は年齢と所得によって変わります。2026年6月時点での現行制度では、たとえば70歳未満で年収370万〜770万円の「標準的な会社員」なら、医療と介護の合算年間自己負担の上限がざっくり60万円くらいです。それを超えた分は払い戻されます。
佐藤
60万円か〜。それ以上払ってたら戻ってくるってことですね。
室谷
そうです。ただ、これは「高額療養費などで既に負担軽減を受けた後の残額」が対象なので注意が必要です。医療費100万円払った、というのが全部対象になるわけじゃなくて、高額療養費の払い戻しを受けた後のネットの自己負担額が合算の計算ベースになります。

所得区分別の自己負担限度額

佐藤
所得によって上限が違うって言ってたんですけど、具体的にどんな区分があるんですか?
室谷
現行制度(令和8年7月診療分まで)での区分を表で確認しましょう。
所得区分(70歳未満) 年収の目安 月額自己負担上限(医療のみ)
区分ア(最高所得) 約1,160万円〜 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
区分イ 約770〜1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
区分ウ 約370〜770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
区分エ 〜約370万円 57,600円
区分オ(住民税非課税) 35,400円
佐藤
ちょっと待って、区分が5段階もあるんですか。
室谷
そうなんです。しかも令和8年8月からは制度が見直されて所得区分がさらに細かくなる予定です。令和8年8月診療分からは月額上限の水準が変わる見通しなので、最新の情報は加入している保険者(健康保険組合や市区町村など)に必ず確認してください。
佐藤
あ、制度が変わるんですね!それは知らなかった。
室谷
令和8年8月からの改正後(令和8年8月〜令和9年7月)の上限額はこちらです。
所得区分(70歳未満) 年収の目安 月額上限(改正後) 年間上限(新設)
最高所得層 約1,160万円〜 270,300円+(医療費-901,000円)×1% 1,680,000円
高所得層 約770〜1,160万円 179,100円+(医療費-597,000円)×1% 1,110,000円
中所得層 約370〜770万円 85,800円+(医療費-286,000円)×1% 530,000円
低所得層 〜約370万円 61,500円 530,000円
住民税非課税 36,900円 290,000円
佐藤
ほんとだ、令和8年8月からは「年間上限」が新設されるんですね!これは大きい変更じゃないですか。
室谷
今まで月単位の上限しかなかったのが、年間でも上限が設定されるようになります。長期治療中の方にとっては「年間の医療費の上限が見通せる」という意味で安心感が増しますよ。今後の制度改正については厚生労働省の公式ページを随時確認しておくことをお勧めします。

対象になる人・ならない人

佐藤
じゃあ、誰でも使えるわけじゃないですよね?どんな人が対象になるんですか?
室谷
大きく3つのポイントがあります。

:::pointbox{title="合算療養費制度の対象者のポイント"}

  1. 医療保険と介護保険の両方を利用している世帯であること
    医療保険だけ、介護保険だけ、という場合はこの制度の対象外です。

  2. 同じ医療保険(健康保険組合・国保など)の加入者世帯内であること
    家族が別の医療保険に加入している場合、その分は合算できません。

  3. 計算期間(毎年8月1日〜翌年7月31日)の合算額が限度額を超えていること
    自己負担の合計が限度額以下の場合は払い戻し対象になりません。 :::

佐藤
「同じ医療保険」じゃないとダメなんですね。たとえば夫婦で夫が会社の健保、妻が国保だと合算できない?
室谷
原則そうなります。同一世帯内でも別々の医療保険に加入している場合は、それぞれ別に計算されます。ただし、後期高齢者医療制度(75歳以上の方が加入)の場合は、元いた医療保険との合算ができる特例があるので、こちらは加入保険者に確認を。
佐藤
なるほど。介護保険は全員一緒(市区町村)だけど、医療保険が別だと壁があるんですね。
室谷
そうです。だから夫婦とも同じ健保組合か、同じ国保かというのが分かれ目になりやすい。

:::warning{title="注意 - 市区町村が異なると合算できないケースも"} 引越しなどで計算期間中に住所(市区町村)が変わった場合、旧住所と新住所の期間を合算できないことがあります。計算期間を1年間丸ごとカバーできるかどうかは保険者に確認してください。 :::

計算期間と申請の流れ

佐藤
申請の流れを教えてもらえますか?自分で計算して申請するんですか?
室谷
流れはこんな感じです。
佐藤
「介護保険自己負担額証明書」ってなんですか?
室谷
介護保険の1年間の自己負担額を市区町村が証明した書類です。介護の自己負担分を医療保険の保険者に報告するために必要で、市区町村の介護保険窓口で取得します。医療と介護は管轄が違うので、別々に書類を集める必要があるんですよ。
佐藤
ちょっと面倒ですね。申請期限はありますか?
室谷
計算期間が終わってから2年間が時効です。たとえば令和6年8月〜令和7年7月分なら、令和9年7月31日まで申請できます。ただし、長く放置すると忘れてしまうので早めに手続きした方がいいです。

必要書類まとめ

佐藤
申請に必要な書類を一覧で整理してもらえますか?
室谷
保険者によって多少異なりますが、一般的には以下が必要です。「介護保険自己負担額証明書」は特に忘れやすい書類なので注意してください。
書類名 取得先
高額介護合算療養費支給申請書 保険者(医療保険)から入手
介護保険自己負担額証明書 市区町村の介護保険窓口
世帯全員の医療費と介護費の領収書(または明細書) 各医療機関・介護事業所
健康保険証または被保険者証 既に所持
振込先口座が分かるもの
佐藤
これを医療保険の保険者に出すんですね。
室谷
そうです。「協会けんぽ」ならお住まいの都道府県の支部、「○○健康保険組合」なら組合の事務局、「国民健康保険」なら市区町村の国保担当窓口に持っていけばOKです。「どこに出せばいいか分からない」という場合は、保険証に書いてある保険者名を確認して、そこに電話してみてください。

合算療養費制度の申請フロー図(8月〜翌年7月→証明書取得→申請→払い戻し)

多数回該当でさらに軽減される

佐藤
あと、「多数回該当」っていうのも聞いたことあるんですが、これは何ですか?
室谷
直近12か月で高額療養費に3回以上該当した場合、4か月目以降は月の自己負担上限がさらに下がる仕組みです。たとえば現行制度で年収370〜770万円の方なら、通常の上限が約8万円のところ、多数回該当になると約4.4万円まで下がります。
佐藤
マジですか!半分近くになるんですね。長期入院してる人は絶対知っておかないといけない。
室谷
そうなんです。令和8年8月以降の改正でも、この「多数回該当」の金額は据え置きになることが決まっています。長期療養の方への配慮として残してくれる、という位置づけです。

:::pointbox{title="令和8年8月制度改正のポイント(長期療養者に関係)"}

  • 月額上限の見直し: 各所得区分の月額上限額が変更される
  • 年間上限の新設: 8月〜翌年7月の年間に上限額が設定される(新しい概念)
  • 多数回該当の金額は据え置き: 長期治療中の方の負担を増やさない措置
  • 年収200万円未満世帯の多数回該当は令和9年8月からさらに引き下げ(▲25%) :::
佐藤
なるほど、改正が段階的に入ってくるんですね。
室谷
令和8年8月が第一弾、令和9年8月が第二弾、という感じです。制度は改正が続くので、保険者から届く通知を毎年確認する習慣をつけておくといいですよ。

申請先と問い合わせ先

佐藤
申請先が分からなくなったら誰に聞けばいいですか?
室谷
保険証を見てください。それが全部書いてあります。
保険証に書かれた保険者 申請・問い合わせ先
○○健康保険組合 その健康保険組合の事務局
全国健康保険協会(協会けんぽ) お住まいの都道府県の協会けんぽ支部
○○国民健康保険組合 その国保組合の事務局
市区町村名(国民健康保険) 市区町村の国保担当窓口
○○後期高齢者医療広域連合 お住まいの都道府県の後期高齢者医療広域連合
佐藤
厚生労働省に直接電話することはできますか?
室谷
厚生労働省の代表番号(03-5253-1111)には電話できますが、具体的な申請手続きは各保険者の対応になります。国民健康保険は保険局国民健康保険課、健保組合・協会けんぽは保険局保険課が担当の部署です。「どこに相談すればいいか分からない」なら、まず市区町村の窓口に行くのが一番早いです。

:::warning{title="制度は改正されます - 最新情報を必ず確認を"} 本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。高額療養費制度は令和8年8月・令和9年8月に見直しが予定されており、自己負担限度額などの具体的な金額は変更される予定です。申請の前に必ず加入している保険者か厚生労働省の公式ページで最新の内容を確認してください。

公式情報: 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 :::

制度の基本情報まとめ

佐藤
最後にまとめをお願いします!
室谷
全体をまとめるとこうなります。
項目 内容
制度名 高額医療・高額介護合算療養費制度
対象者 医療保険と介護保険の両方を利用する世帯
計算期間 毎年8月1日〜翌年7月31日(12か月)
申請先 加入している医療保険の保険者
申請期限 計算期間終了後2年以内
実施機関 厚生労働省・各保険者
公式情報 厚生労働省公式ページ
佐藤
ありがとうございます。医療と介護、両方使っている世帯は必ずチェックすべき制度ですね。
室谷
知らないと受け取り損ねるお金です。「うちは限度額に届いていないかも」と思っていても、医療と介護を合算すると超えることはよくあります。計算期間(8月〜翌年7月)が終わったら一度保険者に確認してみることを強くお勧めします。

よくある質問

佐藤
最後に、よくある質問をまとめてもらえますか?
室谷
相談を受けるなかでよく出る質問を整理しました。

Q. 高額療養費と合算療養費は両方申請できますか?

佐藤
月単位の高額療養費と、年間の合算療養費、両方使えるんですか?
室谷
使えます。高額療養費で月ごとの軽減を受けた後、残った自己負担を1年分合算して、さらに合算療養費の申請ができます。ダブルで使う設計なので遠慮なく申請してください。

Q. 70歳以上の親と一緒に住んでいる場合はどうなりますか?

佐藤
親が75歳以上で後期高齢者医療制度に入っている場合はどうなるんですか?
室谷
75歳に達して後期高齢者医療に移行した場合、それまで入っていた健保や国保の世帯と合算できる「特例」があります。詳細は元の健保組合や市区町村窓口に確認してください。75歳以上の後期高齢者医療の方自身は、後期高齢者医療広域連合が申請先になります。

Q. 自営業者(国民健康保険)でも使えますか?

佐藤
会社員じゃなくて自営業の場合でも使えるんですか?
室谷
使えます。国民健康保険でも制度の対象です。申請先は市区町村の国保担当窓口になります。所得区分の判定が会社員とは異なる部分があるので、具体的な限度額は窓口に確認してみてください。

一次情報・申請先: 厚生労働省/各保険者

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、制度は改正される場合があります。最新の要件・金額は必ず上記の公式ページや窓口でご確認ください。